げんちゃんとチャッピー・・・AIは、優秀なティーチャー!
ただ、目的や、役割は、しっかりチャッピーに与えてやる必要がある。プロンプトの出し方も、やってると、どんどんうまくなります。
AIは発達障害の子どもたちをどう助けてくれるのか
ずっと書きたいと思っていた、発達障害のげんちゃんの教育にAIをどう活用するかという話を、今回はまとめてみます。
私はこれまで、げんちゃんとAIを使ってさまざまな取り組みを試してきました。その中で、AIは子供だけでなく、発達育児に取り組む親にとっても大きな助けになると感じています。
私がAIに求めているのは、単に算数や国語を教えてもらうことだけではありません。物事を認知し、整理し、言葉で表現する力を育てることなのです。
発達障害と「言葉」の深い関係
私は長年、発達障害を「意識の障害」と捉えてきました。そして、意識は言葉と深く関わっていると考えています。
例えば、胸の中に重苦しい感覚が生まれたとき、「悲しい」という言葉があれば、その感情を理解し、理由を振り返ることができます。
しかし、表す言葉がなければ、嫌な感じはあっても、それが何なのか整理できません。
言葉は、人に伝えるためだけでなく、自分が見ているもの、感じているものを明確に捉えるための道具でもあるのです。
げんちゃんたちは、ぼやけたレンズで世界を見ている
げんちゃんを育ててきて、同じ場面にいても、普通の人とげんちゃんでは、内側で起こっていることが違うと感じてきました。
普通の人が、ピントの合った眼鏡で世界を見ているとすれば、げんちゃんは、ぼやけたレンズを通して見ているようなものです。
目や耳には入っていても、細部や意味を十分に捉えていない。見ているのに見えていない、聞いているのに聞こえていないのです。
高校時代、こんなことがありました。
遅刻しそうな朝、げんちゃんは同じ学校の生徒から「一緒にタクシーに乗って、割り勘しよう」と誘われました。
ところが学校に着くと、げんちゃんは、料金を払わず、そのまま教室へ行ってしまったのです。
げんちゃんに悪気はありません。「割り勘」という概念がなかったのです。
彼の頭にあったのは「遅刻してはいけない」ということだけ。相手が自分の分まで支払うことも、自分が果たすべき役割も考えられませんでした。
言葉を聞いていても、その意味を理解していなかったのです。普通は、今まで生きていれば、割り勘という言葉は知らなくても、相手に払わせるのは違う・・・という回路が結ぶはずです。
でも、げんちゃんのぼやけたレンズと、言葉のリレー的な思考回路の欠如からは、驚くことに、そういう志向が獲得されてなかったのです。
ぼやけたレンズのピントを合わせるには
こうした状態を改善するには、物事を細かく捉え、言葉にする練習が必要だと思っています。
例えば、目の前の物について「何色?」「どんな形?」「表面はツルツル? ザラザラ?」と質問します。
それに答えるためには、ぼんやり眺めるのではなく、細部を見て、言葉に置き換えなければなりません。
普通の子どもたちは、絵本の読み聞かせなどを通して、こうした練習を自然に積んでいるのかもしれません。
幼い頃のげんちゃんは、絵本にもあまり反応しませんでした。どんな場面でも、普通の子のような反応は期待できないので、何度も何度も、しつこく、くりかえし、そういう質問をして、言葉を生み出させる訓練が必要です。
しかし、私は、忍耐を重ね、何度も何度もげんちゃんに、そういう働きかけが、完璧にできていたとは到底思えません。
21歳になったげんちゃんに、もう一度基礎から教える
げんちゃんは今、21歳です。小学生の頃と比べれば、意識の状態もかなり改善しました。
しかし、意識が改善しても、身についていなかった能力が自然に備わるわけではありません。今でも、話の順序が乱れたり、必要な情報が抜けたりします。
そこで私は、もう一度基礎から練習させています。
発達育児は、薄く塗った場所に、成長に合わせて何度も色を重ねていく作業のようなものです。
幼い頃には難しかったことも、今ならより高度な形で練習できます。
AIにやらせているのは、単なる算数ではない
げんちゃんは今、ChatGPTを相手に、あらゆることをしています。今日は、動画で紹介したような、言葉の練習を取り上げたいと思います。
「私は、午前8時に家を出て、バスに10分乗り、さらに5分歩いてそちらに行きます。それで、15分くらいたったら、迎えに出ていてください。」
日常でよくあるこういう伝え方・・・げんちゃんは、なかなかスマートにできません。相手に、時間や量など、的確に伝えないといけないときや、段取りを口にするときなど、何を言ってるやらさっぱりわからないことが多いです。
情報を受け取り、状況を理解し、順序立てて言葉にする。その一連の流れを練習させるのに、AIは本当にありがたいです。
説明するより、動画を見てもらえれば一目瞭然でしょう。
意識レベルが上がったとはいえ、げんちゃんのこういう出力作業は、やっと今始まったばかりだと思います。
AIは、発達育児の素晴らしいメンターになる
げんちゃんが聞き直しても、AIは責めません。
「わからなくなった情報を聞き直したのは正しい行動だよ」と評価します。
発達障害の子どもたちは、どこがわからないのかさえわからないことがあります。
そんなとき、相手がイライラせず、必要なところまで戻って説明してくれることには大きな価値があります。
「それは親がやればいいのでは」と思う方もいるでしょう。
しかし、20年以上げんちゃんと向き合ってきて、確信します。
無理!
「どうしてわからないの?」「何度言ったらわかるの?」とイライラが爆発しない親がいたら、それは、仙人かもしれません!(笑)
それほど、彼らは、理解の外にいます。
だから、AIなのです。
AIなら何度繰り返しても怒りません。親が苦手な部分を淡々と肩代わりしてくれます。
もちろんAIも間違えます。しかし、親が目的を明確に伝えれば、質問の仕方を変え、練習を組み立ててくれるのです。
そのおかげで、げんちゃんも私も、以前より穏やかに訓練に取り組めるようになりました。
言葉を通して、認知を開いていく
私は、発達障害の問題の大きな部分に、言葉が関わっていると考えています。
物事をぼんやりとしか捉えられない。見ているのに細部が見えていない。経験していても、その意味を十分に理解できない。
そうした部分を、一つずつ埋めていきたいのです。
言葉を暗記させるのではなく、言葉が表すものを理解し、整理し、行動や会話につなげる。
今のげんちゃんは、以前より意識の状態が改善しています。だからこそ、幼い頃には薄くしか塗れなかったところに、もう一度色を重ねられます。
AIは、その訓練を助けてくれる頼もしい道具です。
発達障害の子どもたちの認知の問題を、言葉を使って一つずつ解きほぐしていく。そして、その大変な作業を親だけで背負わなくてよくなる。
AIは、発達育児に新しい可能性を開いてくれるのではないでしょうか。
今回ご紹介したのは、私がげんちゃんにAIを使って行っている取り組みの一つです。ほかにもさまざまな使い方がありますので、また別の機会にご紹介したいと思います。
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