家で、テーブルサービスの練習です。
げんちゃんのホテルのアルバイトの初日
げんちゃんは、面接と研修に行って、その二日後には、福岡の老舗のメジャーなホテルに入ることになりました。
11時から6時、なかなかガチのアルバイトです。
研修が、いわゆる、結婚式などで、フルコースを給仕するボーイさんの仕事だったというので、(配膳人というらしい。前回のブログ)私も本人も、かなりびびりました。
直前まで、飲み物をグラスにそそぐ練習をしたり、皿をテーブルに運んで、しなやかに、お客さんの前に置く練習をしたり、試験の前日の、一夜漬け勉強みたいに、げんちゃん練習しました。
練習に付き合ってみて、わかったのは、このテーブルサービスのげんちゃんの所作が、思ったより様になっているということでした。
日頃から、食器を洗ったり、食事を作らせていたりしたからなのでしょうか。
また、最近、どんくさい指使いが、少しはましになって、なかなか取り組めなかった、プラモデル作りに挑戦し始めていました。
手先の使い方の進歩が、皿運びをスムーズにしたのかもしれません。
そして、げんちゃんは、仕事の直前まで、前回のブログの研修動画を、何度も何度も見ていました。
げんちゃんは、料理に関することが好きなのかもな、とも思いました。
とはいえ、いきなり、結婚式などで、カッコよくテーブルサービスができるとも思えず、不安はぬぐえません。
アルバイト終わったら、抜ける
さて、初日、はらはらどきどきしながら帰りを待つ!
福岡市内は、自宅からはけっこう遠いので、帰りは、仕事の帰りに、私の車で拾ってやりました。
職員通用口から出てきたげんちゃんは、蝶ネクタイとカッターシャツのまま、上着を忘れてるのにも気づかず、茫然とした顔で車に乗り込んできました。
「ちょっと、コートは? 朝着て行ったでしょう!」
「え? あ・・・」
げんちゃんはよたよたと取りに戻っていきます。それから異常なまでに待たされて、車に帰ってきました。
ホテルのアルバイト、上司の仕事ぶりに心が動くげんちゃん
「どうだったの? 今日は、ワインをついだの? どんなお客さんだった?」
私は、心配と好奇心で一杯。
「いや、ワインはなかった。」
「え、食事のサービスはなかったの?」
「なかった。」
「じゃあ、何やったの?」
げんちゃんの、いまいち要点をはずした、いつもの会話にいらいらしながら、根ほり葉ほり聞くと、ざっと次のようなことがわかりました。
初日げんちゃんは、大阪の会社の祝賀会のサポートに入ったようです。
100人くらいの大きな会場で、まずは会場づくり。次に、お客様が来られたら、席まで案内する。食事や飲み物は各自。サポートなし。
そのイベントのあとは、裏に回って、お皿のストックの点検。
ひたすら、そのあとは、丸テーブルのセッティング。
裏方作業に徹していたようです。
テーブルサービスがなかったので、ちょっと安心しました。
げんちゃんは、長時間立ちっぱなしで、飲まず食わずで動いていた様子。その中で、今まで言わないような感想を、ぽつりと語ってくれました。
「足が痛かった~。今も痛い。
なんか、集合場所がぜんぜんわからなくて。なんか、迷路みたい。着替える部屋は、天井が低くて、急な階段で上がっていくんだよ。変わった部屋。」
げんちゃんは、ホテルの裏方の作りが、かなり複雑で、迷路みたいで、それが相当印象に残ったようでした。しかも、古いホテルなので、従業員が使う部屋は狭くて圧迫感があったのか、何度も、同じような話をしていました。
「それはわかったから、お客様に何か聞かれた?」
「うん。トイレはどこですか、って聞かれた。」
「で?なんて答えたの?」
「ドアを出たところにあります。と答えた。」
「はあ? ドアを出て、どっちにあるかを教えてあげなくちゃだめだだよ? ドアの真ん前にあったわけじゃないでしょ。ドアを出て、右にまっすぐ行ったら、右手側にありますよ。とか言うんだよ。」
「あ、・・・」
「トイレの位置は、必ず最初に把握しておくように、研修でもらったパンフに書いてあったでしょ。チェックしなかったの?」
「する時間はなかった。」
「今度から、チェックするか、上の人に聞いておくかしないとだめだよ。絶対に聞かれるから。」
「祝賀会ではどんなことを話していたの?」
「・・・」
「聞いていなかったの?」
「いやあ・・・・(苦笑)」
やれやれ、げんちゃん、自分が出たイベントの内容を、みじんも話せない。普通なら、なんだろう?何話してるんだろう? と食指を動かすだろうに・・・
「他には何を感じたの?」
「名前を違う呼び方で言う人がいたんだけど、」
「はあ?どういう意味?」
「○○君とか。」
「あ~。上の人でしょ。部下を呼ぶ呼び方してた人という意味?」
「うん、そう。その男の人の働き方が、すごくてきぱきしていて、すごいな、と思った。」
「ほう!」
げんちゃんの口から初めて、人の働き方についての感想が出てちょっとびっくりしました。しかもちょっとした憧憬の念を持っていることがわかる。これは初だ! すごい。
大学生のお兄さんと少し交流もしたようでした。何時間もけっこうハードな仕事を、少人数でこなしていくうちに、そこにきっと連帯感が生まれるはずだと思います。
げんちゃんは、その連帯感の中に入っていた様子が感じられました。
それは、スーパーのアルバイトにはなかった感触だったように思います。
一つのイベントを作り上げる中で生まれる独特の連帯感と使命感・・・なんとなく、げんちゃんが、大人っぽくなってるように感じました。
初日は、仕事場に指定されたホテルの、指定された場所に行き、事前に言われた、手続きを済ませ、仕事に入る。
わからなければ、近くの人に聞く。
初対面の相手に向かって、挨拶をし、自己紹介をする。
完ぺきにきっちりやれたわけではないでしょうが、今までげんちゃんが所属していた世界から、全く違う世界へ、大きく踏み出したことを感じました。
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アルバイトが終わって抜けるというのは、それだけ頑張ったということなのかなと思いました。
げんちゃん立派ですよ。裏方作業も大切なお仕事。うちの息子がそれだけやりとげたらすごく嬉しいし褒めまくってしまいそうです。
学生時代の成績や学歴よりもちゃんと働ける人になることが大切。げんちゃんはママさんの導きのおかげで、ちゃんと働いて自立していけるのだろうなと思います。
冬休み、ゆるくだらだらと過ごした息子。敏感すぎるわけではないけど、圧をかけすぎるのは逆効果。やはり外部の力をかりていくのがいいのだろうなと思います。
ゆうママさん
確かに、気持ちを入れて頑張ったと思います。しかし、げんちゃんのそもそもの課題は、自分の好きなところだけ、好き勝手に気持ちを入れて、入れたところだけ少しできたから、自分はできるんだ、と思い込むところなのです。
確かに、ホテルの仕事は好きだったみたいで、がんばったんでしょうね。気持ちを入れて、捉えようと頑張った時の、げんちゃんの能力は、伸びているんだとわかりました。
しかし、この仕事だって、慣れてしまえば、ルーティンでやろうとするにきまっています。
そうなれば、いつもと同じことになると踏んでいます。
自己都合で、勝手にスイッチを入れるげんちゃんではなく、社会人として、入れるべくところは、いやでも、しっかり入れて行く、というゴールに持って行かなければならないと思っています。
次に書く予定ですが、げんちゃん終わってからの、信じられないような、失敗をやらかしまくっております。
しかし、最終日、支配人から、また来てね、と声をかけられたらしく、それがうれしくてたまらなかったようです。
有頂天になるので、扱いが難しいですが、やはり、私もうれしかったです。
息子さんも、高校生のうちに、何かアルバイトできるといいですよね~。高校デビューは、少し下駄をはかせていただけるのがメリットだと思います。できてあたりまえ、となる年齢になると大変です。お子さんは、どんなことが好きになるのでしょうかね~・・・
げんちゃんのステップアップぶりに驚きしかありません!
また来てね!と言っていただけたということは、充分戦力になったということですよね。
頑張るげんちゃんにも、あきらめずに働きかけ続けるママさんにも、感心しきりです。仰る通り神様に試されているのだと思います。
頑張らない言い訳はいくらでも並び立てられる中、逃げずに向き合い続ける姿は本当に素晴らしいです。
げんちゃんの気持ちが動きまくっている様子が伝わって来ます!
ところで、今私のブログでSEMについて改めて解説しているのですが、その中で私が一番伝えたいことは、おそらくママさんと同じだと思います。
アメリカではSEMの国立研究所を構える程に至ったSEM開発者のレンズーリ先生も仰っています。大切なのは能力ではなく、タスクコミットメントだと。能力や創造性は発達の目標として伸ばせる!と。
このタスクコミットメントこそが、私の思う意識です。S先生の仰るところの目的意識だと思います。
ギフテッドと呼ばれる子供用の教育から始まったSEMをレンズーリ先生は全ての子供を対象に広げて行ったのは、最初から子供に才能のある・なしが決まっているわけではないことを発見したからです。
今年からは、公立学校でも、ある程度SEMの理念を取り入れた教育方法の研究実践が始まります。文科省が予算を決めましたし、今話題になっています。
なかなか理想通りには行かず、四苦八苦するとは思いますが、一歩でも前進して、後に育って来る子供達には少しでも良い教育を与えられるようにと願っています。
今は各家庭で頑張るしかないですからね。
Takekoさん
SEMっていう言葉は初耳です。要するに、興味の矛先、脳を動かす駆動力とでもういうものでしょうか。
S先生が言う意識という言葉は、実際には、しっかり、先生の伝えたいことを表してはいません。
言葉がまだ、ないと言ってもいいのかもしれません。
意識障害です。なんて、学校の先生に説明したら、
「気を失ったりするんですか?」
と言われたことがあります。
しかし、人間って、結局脳のもっと上にある、心(ありふれた言い方になってしまうのがいやなんですが)が最も大事で、知力を超えるものだと思うし、それにより、真の知力が生まれるものだと思います。
教育でとらえられるものは、お子さんの興味というような小さな範囲で扱われやすいですが、まずはそこからというところもありますね。
しかし、単に興味と言うのとも違いますね。
その子が、その子として天命を受けたものを探していく、そんな風に感じます。
神様感がそこにあると、スムーズだな~と思います。
げんちゃんも、どうも、お料理や人にサービスすること、なんてことが、本人の意識を動かしやすいということがわかりました。
げんちゃんの天命・・・どうやって周りを生かし、自分を生かしていけるのか。
それをつかむためには、忍耐も必要です。
好きなことをただやらせる、というだけではだめですよね。ホテルの仕事は、決して楽じゃないし、飲まず食わずの時も多くて忍耐を養うのにもいいな~と思っています。
次のホテルの仕事を受けました。断られなかったようです。
確かに、仕事を探して電話した時点では、できるのか、かなり不安でしたから、げんちゃんの能力があがっていると、確認することができました。
しかし、発達障害は、好きなことだけにしか、気持ちを入れないわがままな大人にもなりやすいと思います。ここからが、本格本質治しだと思っています。
それにしても、Takekoさんの学校からは、将来の天才が出そうですよね。
知識だけじゃなく、心も崇高な、日本を変える人材になってほしいですね~。
勉強だけしかわからないエリートたちが、日本の惨状をリードしてきたんだと思っています。そうではない、本当のエリート。そういうお子さんが、Takekoさんの教え子から排出されると楽しいですね~。