
カレーも、とりあえず、見よう見まねで作ることができたげんちゃん。やはりコツコツ。
高校時代に次ぐ、二回目のアルバイトステージ
高校を卒業して三年目。初夏が訪れるとともに、迷走していたこれまでの日々に、ひとまずちょっとしたアクセントが訪れました。
これまではげんちゃん自身、ほんとにやる気が感じられず、他力本願で、適当にやりすごそうとしていたのが、ほんの少しだけ、自分軸が出てきたのです。
「グループホームに放り出し、他力本願をはく奪し、A型事業所に通わせるしかない」と、腹をくくりました。私が何をやっても、もはや、甘えの温床にしかならない・・・
グループホーム、A型作業所・・・
そこでの生活を通して、げんちゃんがどう変わるのか、いやおそらく、こいつは、変わらずに落ちていくのだろう。一人ぼっち、甘えがきかない環境でも、なれて圧を感じなくなれば、げんちゃんは落ちていく・・・
それでも、この生活を続ける限界を感じていたのです。低きに流れるげんちゃんにとっては、「最もリスキーな選択」をせざるを得ないほど、前が見えないと感じていたのです。
ところが、スキマバイトのアプリを使って仕事をさせてみたことが、げんちゃんが急に、今までにない緊張感を持つ瞬間が出てきました。
「出力」し始めたげんちゃん
もちろん、劇的に進化したというわけではありません。今まで「もっとできてきて当然」と思われることに、全くやる気を見せなかった彼が、ようやく重い腰を上げて「わずかでも出力に舵を切った。」
そんな言い方が適切かもしれません。
一般の就労と言っても、単発のスキマバイトで来る人に、現場はそこまで大きな期待はしていないでしょう。しかも、バイトの時間は、長くても5時間くらいのもので、2時間程度からあります。
まだ継続力も、挨拶のスキルも、仕事のクオリティーも、すべてあやういげんちゃんが、少しずつチャレンジするには、ぎりぎりの選択肢と感じます。
しかし、思い切って「これならなんとかなるかもしれない!」と思える仕事を片っ端から選んで行かせてみたところ、げんちゃんに、動きが出てきたのです。これはある種、驚きでした。
勤まるのかどうか、冷や冷や
この隙間バイトは、雇用側が、雇った相手を再雇用したくないときは、応募ができなくなります。げんちゃんのスマホのアプリに、過去の事業所の再募集が上がってこなくなるのです。
しかし、今のところ、一度チャレンジした仕事が、また再度アプリで提案されてくるので、げんちゃんは、拒否されていないようです。
挨拶さえろくにできないような彼が、現場に集められた人たちの中に混じり、その日の仕事を全うする。おそらく挨拶なども最低限で済む環境なのでしょうが、それでも今の彼は、そのハードルをクリアしているようです。
ホテルの調理補助: レストラン内で肉を焼き、お客様にサービスする仕事
宅急便の配送センター: ベルトコンベアで流れてくる荷物を所定の位置に振り分ける仕事
食品工場: スーパーに配送するお肉のパック詰めや、イチゴのヘタ取り
ホテルのセレモニーの給仕
店舗ののワックスがけ業者の手伝い
どんな風なのか、心配ですが、げんちゃんなりに、緊張しながら、どの現場も一生懸命こなしていたようです。
人のためになることが、「好き」だという発見
彼は物事の「繋がり」をつけることが非常に苦手です。めんどくさがります。現場へ行くまでの時間配分や段取りには、今でも結構な「落ち」があります。そこは多少サポートが必要ですが、いざ現場に入ってしまえば、げんちゃんは一生懸命に取り組んでいるのかもしれません。どうやら、彼は働いて、自分が誰かの役に立つことの喜びを見出したようです。
A型作業所のレストランでの数日の仕事体験
同時進行で、A型作業所の忙しいレストランの厨房も経験しました。
3日行で終わりましたが、そこでの仕事ぶりだけは、社会福祉士さんを通して聞くことができました。
「ソーシャルには、まだ大きな問題をかかえていますね。」
と事業所の方に言われたそうです。
狭い通路を通るときは、調理場なので、トラブルが起きないように、
「後ろ通りますよ。」
と大きな声をかけないといけないのに、げんちゃんは、何度も無言でそこを通り過ぎたようです。聞かれたことには、とつとつと答えても、自分から何かアクションを起こすことには無関心。たくさんのスタッフの中でのチームワークを自ら作っていくことは、まだまだ零ベースのようです。
ハートは暖かいものがないわけではないけれど、気遣い、という点においては、でくのぼうのげんちゃん。仕事となると、課題だらけのようです。
盛り付けや物品の用意などをしたようですが、それも、終わったのに、報告もない。
常識のなさは、気持ちのなさでもある
これらのものは、一つの作業所で、仕込まれて慣れていけば、できてくるとは思いますが、そもそも、それらのことができるための、気持ちの元が、げんちゃんにはないと感じます。
ルーティンでつければできるけれど、心から出てくるように応用できるようになるには、まだまだ表面の指導だけではだめだと感じています。中身の改革が必要だと痛感します。
また、5時間の体験の後半になると、集中力が落ち、ボケっとする場面も見られたようです。
これも課題です。普通の人も、疲れてくると、集中力は落ちるかもしれませんが、はたで見るほどわかる落ち方にはならないと思います。
げんちゃんは、何事も、気持ちが続かない・・・これも、過去から今まで課題であり続けています。
たくさんの仕事を経験して、とにかく、何かの化学反応を待つ私です。毎回、フィードバックをあらゆる方向からしまくり、いつものように、終われば捨てるげんちゃんからの脱却を目指す必要があります。
表面を作ることよりも、内面(本質)を作りたい
つまり、表面をつけていくのであれば、A型作業所でもいいのかもしれませんが、あくまでも、短期バイトを利用して、げんちゃんの中身を変えていく必要を感じているのです。
どんなところに行っても、自ら、心から外に出てくる種を作る必要があります。
こうなると、もはや、大きな圧が仕事からかかるので、グループホームはしばらくおあずけ、一丸となって、単発バイトの外の刺激を、どうやって、内部の成長に結びつけるか、あの手この手で仕掛けていかねばなりません。
中身を変えられれば、外はおのずとかわるでしょう。
点と点を自然につなげていけるげんちゃんを目標に
終わればやりっぱなし、これはなかなか治らない。すべてに責任をもって、最後までやり遂げるという姿勢を、仕事を通して作ることが必要だな、と思います。
仕事中はなんとかがんばれたとしても、前後はめちゃくちゃ。用意も落ちだらけ、終われば、着替えたものは、シューズも一緒にぶち込んで、ぐちゃぐちゃな荷物で持ち帰る。帰れば、荷物は放置され忘れ去られたりもします。
一瞬一瞬がつながらないげんちゃん。一瞬が何とかなっても、げんちゃんの人生という糸は、まったくつむがれていきません。
げんちゃんにできる仕事があれば、それでいいというわけではありません。げんちゃんが、げんちゃんの人生を、しっかり紡ぐ。
仕事は、その流れの中での、一つのアイテムでなければならないのです。
そこに行くには、まだまだはるか遠い道のりです。
まだまだ、一人で成長するのは、難しい。
可能ならば、職場にフィードバックを聞きたいところです。それができないのが、アルバイトの欠点です。・・
でも、この二年間、家で積み重ねてきたことは、やはり、少しずつでも、蓄積されてはいるのだな、と思います。
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