ママの格闘と改善のダイアリー

自分の子が発達障害?
それって何? から始まった。

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知的障害児には、学習はいらない、という考えは危ない その2


牛乳にヨーグルトの種を入れて増やした、自家製ヨーグルト。1リットル分、いっきにできます。

前回に引き続き、A君のことを書いてみます。

自転車に乗れなかった小学4年生のA君

彼は、げんちゃんのように、小学校時代も中学時代も、支援クラスにいました。
彼は、ぶっきらぼうで、自分の好きなことに関してだけ、ぼそっと受け答えするようなところがありました。ですから、スムーズなコミュニケーションをとった記憶はありません。
幼子のように、こっちが会話を作ってやるようなところがありました。

なんだか、体の軸が弱弱しくて、まだそこに伸びしろがいっぱいあるような気がして、お母さんに聞いてみたことがあります。
「A君、自転車乗れる?」
小学校4年くらいのことでした。
お母さんは、
乗れない、ときっぱり言いました。
私は、それを聞いて、
「乗れないんじゃなくて、乗れるようになってないだけじゃない? 自転車練習してみたら? まずは、体の伸びしろにアタックすると、色んなところが、改善されたりするよ。」

お母さんは、他の兄弟にも、まだ手がいる時期だったので、A君につきっきりで勉強を見てやったり、あるいは、それにかわる環境を作ってやったりしていないようでした。
しかし、その時は、お母さんに響くものがあったのか、すぐに自転車をA君にさせました。
すると、なんとあっというまに、A君は乗れるようになったのです。

友達がいると、発達障害のママは、安心する。

気づくと、A君は、結構友達もできて、少し生活の範囲が広がりました。

その子が発達障害で、色々困難があっても、とりあえず、一緒に遊ぶ友達がいる、というのは、心のささえになります。
げんちゃんは、今もって、友達と言えるような仲の子がいないので、げんちゃんよりコミュ力があるように見えないA君に、放課後遊ぶ友達がいる、というのは、ちょっと不思議でした。

でも、彼は、同級生との関係を築くのは、げんちゃんより上手だったのでしょう。

私が感じたのは、友達がいて、外に遊びに行くことも多かったA君に対して、お母さんは、少し安心しているように見えました。
友達といっしょに、どんな遊びをして、どんな会話をしたのか、彼が、自分と共有していない時間の中で、どう行動して、何を考えていたのか。

どうも、私には、その辺を、お母さんは把握しようとしていないように見えました。友達と遊んで帰ってきた、というだけで、彼女にとって合格点だったのかもしれません。

やがて思春期が来て、親のコントロールから、さらに離れて行く。彼の世界観は、彼自身で、勝手に作られて行く。そして中学を卒業すれば、高等支援学校という環境で、外側だけが、仕立てられていく。    中身ではなく、外側。

しかも、親の介入がしにくい寮生活です。

やがて、そこを卒業すると、仕事にもついて、A君には変な自信もついてきました。

しかし、毎日は、あまり変化のない生活になり、ふと気持ちをゆるめて、抜いてしまった時に、目の前にいる女性の体に、ふと触ってしまった。

彼にしてみれば、計画的なことでもなく、なんとなくやらかしてしまった、日常の失敗の一つだったのではないか、と思います。

大きなトラブルには、成長ができていない種がひそむ

色んな事が、ざっくり許されていた環境が、いつのまにか、許されない世界にシフトしていたのだけど、それさえも、あまり把握できていなかったのでしょう。

もっとここに至る前に、細かく、常識に照らし合わせて、おかしいところを細かく指導していけていたら、もしかしたら、こういうことには至らなかったのでしょうか。
発達障害の子供の怖さは、どんなに親が頑張っても、その網の目をすり抜ける『想定外』なのかもしれません。

でも、何かが起こった時に、やはり、どこかにその兆しはある。仕事を始めてしばらくして、彼が、すれてきた、と思ったのは、周りの人に、
「給料いくらなの?」
と、ニヤッとして聞いていたのを目撃したからでした。私は、気になって、そのことをお母さんに伝えて、注意を喚起したことを覚えています。

一見、今いる環境の中で、とりあえず、なんとかまわっている、と映っていたけれど、彼の内面で、問題は熟成しかかっていたのかもしれません。

一見うまく回っているように見えても、本質的な課題が横たわっていることを、見極めるのは、エネルギーがいります。全面的に彼に意識を向けていないと、なかなかできません。
げんちゃんも、同じです。
誰かが、親さえも知らないところで、サポートしてたから発覚してないだけの問題を、いつも把握しようとする努力がいると思います。
それを拾い出してきて、こつこつ、あきらめずに、改善を図っていっておかないと、なかなか社会に出ることは難しいのだと思います。

とても厳しい言い方だけど、
彼の常識感の欠落や、内面の幼さを、父親が正しく把握していたのなら、安易に人に丸投げ、という選択は、なかったのではないか、と思います。

なぜなら、細やかに見て行かないと、見えてこない問題に対する、毎日の声掛け、指導は、他人様おまかせ、しかも集団の中だけでは、できるはずもない、と判断できるからです。

知的障害児は、仕事の練習だけさせる、という考えには疑問

将来仕事をしないといけないんだから、高等支援学校の寮で、厳しく指導してもらう、
なんて言うお父さんの、もっともらしく聞こえる意見は、A君の中身を見落としている、自分サイドの見方だと感じます。また、学校への認識不足もあるのではないでしょうか。

今回のことは、みなショックな事件でしたが、事件の相手の方も、服の上からさわっただけだったので、和解もできたようです。

A君のママは、私に
今回のことはよかったかもしれない。家族がもう一度、再出発する。

というようなことを言っていました。そこには、どこか開き直った決心が見えました。
できるできないは、とりあえずおいておいて、家族のピンチに全エネルギーをかけて、みんなで育っていく。
これが発達育児というものなのかもしれませんね~・・・

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  1. 夏みかん より:

    A君のお話、色々考えさせられます。
    外側から見ると、友達と仲良く遊んでいるようでも、実際は幼い子の並行遊びみたいにそれぞれが独立していて、対話になっていない、双方向のやり取りが成立していないということは多々あることです。今の子は普通の子でも一方通行気味な子が多いですから、パイプ役が必要で、介入して育てていく必要性を感じます。

    「何かができるように」という指導では結局人間性は育たないのですよね。
    仕事のスキルを身につけさせるというのも、調教される犬のような印象です。
    これでは人間は育たないのだと、工夫し考え、向上していこうなどと思える心の器があってこそ、またげんちゃんのようにそこを狙ってというのなら仕事という手段が活きてくると思います。器がまだ未完成どころかほぼない状態の子に形だけというのは、どこかでほころびが必ず出ると思います。

    今回、それが思いがけない形で現れたと思います。家族が1つになって認識を改め、再出発するきっかけとなったことはよかったのかもしれませんね。
    Aくんのお父さんもズレてても、子どものことを真剣に考えていると感じます。
    子育ての足並みが揃わない我が家から見たら、羨ましくも見えますが、間違った方向へ引っ張られるのも困りますね。私の子育てにあまり干渉しない邪魔しない今の環境の方がかえっていいのかもしれませんね。そういう意味では夫も間接的に協力してくれてるのかもですねσ(^_^;)

    • げんちゃんママ げんちゃんママ より:

      夏みかんさん
      小さいころのお友達というのは、いっしょにいて遊ぶというだけで、人格的な交わりには遠いことが多いですね。
      内省的に色んなことを見ているような、賢い子ほど、友達がいない、というようなこともありえます。
      本来の親友なんていうものも、人格的にまじりあい、互いに向上していくものが理想です。
      それからすると、ただつるんでいる、という状態は、その子が落ちる原因になったり、余計なエネルギーを使って消耗したり、本来のところから離れたり、悪いこともありますね。

      発達の子は、普通の子より幼いので、その子の成長が望まれるときは、友達との時間を増やしてもいいですが、そうでないときは、一人で、自分を成長させていく時間に充てる方がいいかもしれませんね。

      げんちゃんのために、去年はアルバイト探しに血道をあげたのですが、目的は、すべてにおいて、甘えを払拭させることと、自立する心を育てるきっかけにするためでした。

      はっきりとした目的がありました。だから、その時のげんちゃんよりちょっと難しい仕事、というのが選択の基準でした。
      ホテルは最適でした。しかし、今一つ、勤まらなかったようです。あとからわかったのですが、途中から、皿洗いの派遣にかえられたようです。でも、働くことが目的ではなかったので、春休みで終わらせました。

      でも、当初の目的は果たせたように思います。今年は、それを踏まえて、また本道に戻るような感じです。そこで見えた、足りないところを、しっかり補うように色々取り組んでいます。
      確かに、A君が仕事をした目的は、なんとなくぼんやりしていたと思います。形だけ就職した、というスタイルをとっても、目的がないと、やはり落ちてしまいますね。

      パパは、どうしても働く、ということがステレオタイプになりやすいんだと思います。
      自分自身、仕事の目的というのが漠然としているのかもしれませんね。女性の方が内省的なので、そういうことを追及していけるのかもしれませんね~。

  2. ゆうママ より:

    身が引き締まる思いです。
    一見友だちと遊んでる、一見ちゃんと働いてるという形に親は安心してしまうところもあり、見えないところで問題が大きくなってしまう。課題が見えにくく、今までより一層注意が必要なのかもしれないですね。

    心や善悪の判断や常識が育ってないのに形だけ働けるようになっても、砂状の楼閣にすぎず、いとも簡単に崩れてしまいますね。この子たちの課題は生活そのものの中にあるので、学校に入れたからと安心していてはいけませんね。学校だけでは身につかないと思います。

    • げんちゃんママ げんちゃんママ より:

      ゆうママ
      ほんとにそうだと思います。げんちゃんも、去年、ホテルの給仕の仕事をしているときに、ほんとに務まっているのか、半信半疑でした。でも、首にならないし、次の仕事が入るので、なんとなく成長できてるんだ、という気になっていました。
      働いているところは見れないので、行きかえりのトラブルの多くを指導していました。
      しかし、やがてホテルの仕事から、皿洗いの仕事にかえられたので、なるほど、と思いました。

      そうなると、また仕事につかせても、彼の問題は解決しないだろうな、と思いました。またホームにもどして、穴だらけの穴をふさいでいかねばなりません。

      できる仕事だけさせていても、成長はしませんし、どんどん落ちると思います。仕事をさせながら、指導に入り、家でも足りない学習をしたり、並行で成長させていくのが理想かもしれませんが、なかなかそういう環境は望めないですね~。

  3. Takeko より:

    私も友達がいると安心するという傾向は危険だと思います。逆にいない方がメリットが大きいのではないかと思うことが多々あります。

    友達がいるメリットは、主に切磋琢磨できることだと思います。お互いの精神レベルがそのステージにない場合は、あまり意味がないと思いますので、それなら、良い影響を与えてくれる大人の人と過ごしている方がプラスになると思います。

    A君ご家族は新たな気持ちで再出発されるとのこと、さすが、げんちゃんママさんのお知り合いだと思います。ほっとしました。

    やはり、大切なことは、どんな場所で、何をするか、ではなく、どんな場所でもいいし、何をしていてもいいから、どれくらい魂を磨いているか!ということになりますね。

    発達障害の改善は出来ると思います。しかし、それには、脳や心の状態が、どう揺さぶられ、成長して行っているかによると思います。

    私は子供達のそのままを認める必要があると思っていますが、「そのまま」こそが、それを意味していると考えています。つまり、「友達がいても、大して良い影響も受けられず、結局、長い期間、保護者がしっかり見守りつつ、保護者が主体となって導き続けなければならない存在であること」=「そのまま」だということです。今の日本では、残念ながら、そうなりますね。

    例えば、1つの理想として、オーダーメイドのスーツの職人になった方のように、本人の適正と好み、満足度の高い本格的な仕事に従事しつつ、保護者が軌道修正などの手をゆるめず、一生掛けて成長を促して行く、というケースです。お母様は80代だそうです。

    これが、とても理想的だと私が考えるのは、部分だけに従事しない点です。1着のスーツを自分1人で仕上げるということに意味があると思います。パーツだけをやっていても、全体像を把握出来ず、達成感を抱きにくく、かつ、単純作業のルーティンに落とし込みやすくなります。

    ですから、例えば、げんちゃんがカフェを経営するというのは最高のアイデアだと思います。食材の調達、調理、配膳、会計、掃除、接客、メニューの考案などなど、1人で全体を見渡すことが出来ますからね。しかも、近くにいる保護者が、げんちゃんを良い方向に導きやすいですし、本人もカフェのオーナーですから、やりがいを感じやすいですからね。そこで、慢心した場合は、すかさず声も掛けられますしね。

    だんだん、未来や進む方向性が明確になって来ましたね。げんちゃんのセミナー開催、YouTubeで調理動画も配信、と夢が広がります。スミマセン、勝手に。笑

    • げんちゃんママ げんちゃんママ より:

      Takekoさん
      その子状態によっては、友達がいなくても当然、まだそこじゃない、ということもありますよね。
      親としては安心する、というのもわからないわけではありませんが、正しいことができあがっていないのに、変なことを覚えたり、間違ったことを肯定してしまったり、弊害も大きい場合があると思います。

      げんちゃんも、無理して誰かに遊んでもらうより、とにかく、自らの成長を促す方が先だと思いました。
      げんちゃんを引き上げてくれる組み合わせなら、オーケーですが、足を引っ張られる場合もあるので、しっかり見極めていました。

      大人でもそうです。げんちゃんをやたら肯定するような人はだめだし、その人自身、しっかりとした理念がないと、げんちゃんを混乱させることになりかねない、と思いました。

      ある程度成長すれば、どんな友達でも、自分の立ち位置を失わずに付き合えるのでしょうが、げんちゃんは、相手によって完全振り回されますからね。
      おっしゃるように、ともに切磋琢磨できるような精神年齢になれば、色んな人と付き合うのはいいでしょうね~。なかなかそんな日は来そうにないので、とりあえず、こっちでコーディネートするしかない感じです。
      まだまだ。立派な大人のもとにおいて、指導していくステージにいますよね~。いまだに・・・

      だから、友達がいないのは、あまり気にはなりませんが、そろそろ表面的なお友達は、作ってもいいような気がします。げんちゃんレベルでも、相手にしてもらえるお子さんもいると思うのですが、まだまだ、それも蛋白すぎてがっかりです。高校は、そこを目的の一つにしていたのですけどね~。

      まだまだ、げんちゃん内面の問題は大きいです。去年のアルバイトを経て、以前より、自ら向上していくんだ、という気持ちのきざしくらいは芽生えてきました。

      芽生えただけで、各論は、まだまだお粗末だし、気持ちも、時に落ちます。

      喫茶店経営・・・一生達成できない目標のような気もしますが、それくらいを目標にしていれば、普通に料理人として、お勤めできるところも出てくるかもです。

      まともに、色んな事を伝えることができないげんちゃんですから、ユーチューブでしゃべれるのは、遠い先ですよね~。(笑)

  4. ルーミア より:

    同性の友達が彼に与えてくれるものは、基本的に安心感と悪知恵だけであり、彼等が彼に人間的成長を与えてくれることは基本的にないから、友人関係に人間的成長を望んではいけない。悪知恵がつくという行為を成長と捉えるかどうかではあるが。

    • げんちゃんママ げんちゃんママ より:

      ルーミアさん
      確かに、A君自信が幼くて、内面ができていないのに、友達だけすぐれているなんてことはないのかもしれませんね。

      しかし、事件のあとに、お友達が、「それでも友達だよ、安心して、」
      と、家まで言いに来たんだそうです。なかなか良い友達だな、と思ってしまいました。
      彼の雰囲気を知っているので、なんだか不思議です。
      私に見せていない顔をもっているのでしょうかね~。

  5. ルーミア より:

    「Aくんはこのような行為をしてもおかしくない」と割り切っているだけでは?クラスの中心人物が未成年喫煙しても、縁切りしない筈。

  6. げんちゃんママ げんちゃんママ より:

    ルーミアさん
    そうかもしれませんねー。どんなともだちなのか、私にはよくわかりません。

  7. げんちゃんママ げんちゃんママ より:

    非公開Mさん
    友達のチェック、というのは、普通のお子さんでも必要ですよね。
    友達、というと、良いイメージですが、発達障害のお子さんの場合、対等な関係を結んでいない友達関係もあります。
    また、幼児のただいっしょにいる遊び友達、という幼い関係もありですよね。

    人は成長するにつれ、友達関係に求めるものがかわっていきます。
    お互いに成長し合える関係が最もベストな気がします。

    そういう関係を作るには、自分自身も、かなり大人になっていなければならない気がします。
    そもそも、精神年齢も幼く、物事の見方が、偏狭になりやすい発達のお子さんは、自分の解決しないといけない問題が多く、まだ良い友達関係は作りにくいですね。

    しかし、ステージに合わせて、ただ会話するだけの友達でもありがたい場合もあるし、自分の興味のないようなところにも連れ出してくれる友達が、良いきっかけになることもあります。

    それぞれ、ほんとに親が目を光らせて、子供の交友関係を見ていく必要がありますね。

    パシリのような関係で、利用されているような場合はもってのほか。
    友達と楽しくやっている、と言うアバウトな把握はとても危ないですね~。

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