ママの格闘と改善のダイアリー

自分の子が発達障害?
それって何? から始まった。

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好きなことだけがんばる、は、ほめない。

げんちゃんは、12月から絵画教室を復活しました。
まだまだ、好きなことを復活させるに早いと、Sさんに言われていたげんちゃん。今は、苦手なことを、心からがんばって克服することを経験させていく必要があるげんちゃんです。

好きなことをがんばって達成する達成感と、好きでもないことを、なんとか克服して、達成する達成感とは、まったくレベルが違います。

後者の方が、より難しく、到達した時の意味も、喜びも、格段に上です。

しかし、そんな今のステージで、好きなことを与えるのは、そこへ逃げ込み、たやすい達成感で自分をごまかす可能性がある。絵画教室は、もう少しげんちゃんが、自分をコントロールできるようになるまでは、危ないかもしれない。声掛けなど、かなりわかっている先生であれば、そうでもないけど、なんせ、普通の子を教えるのしか慣れておられない先生だし・・

Sさんに言われていたのに、絵画の先生に電話した際に、つい、まだ復活できません、と言いそびれ、流れでなんとなく復活させてしまったげんママでした。(実は・・・)

絵画そのものは、げんちゃんに、悪いわけでもないし、立体(透視図)が不自然にしか描けないげんちゃんには、やはり、絵画はやらせたい項目でもあります。しかし、げんちゃんの思い一つで、絵画が吉となるかもしれないし、凶となるかもしれません。
私的には、ちょっとしたかけ。

げんちゃんが、復活して初めて描いた絵は、2020年のカレンダーでした。

持ち帰ってちょっとびっくりしました。下手、というか、あまりに陳腐で凡庸、まるで一応テーマに沿って書きました~という、よくある感じの絵ではありませんか~。

げんちゃんの絵は、決して上手とかいうレベルにはないけれど、下手であっても、どこかユニークなげんちゃんらしい感性が持ち味だったのに、まるで平凡な絵の下手さです。
あらら、どうしちゃったの?

干支のねずみは、のっぺり平坦。構図も、遊びがなく、ただねずみとチーズを並べただけ。しいて言うなら、かろうじて、2020という文字の書き方が、丁寧。

私は、あわててSさんに見せました。

Sさんは、その絵を真剣にながめていましたが、ふっと、笑顔になって、

「合宿の効果が表れているね。」
と言いました。
「この何の切れもないこの絵で、成長なんですか?」

よくよく聞いてみると、なるほどと思いました。

「ねずみの配置ですよ。秩序正しく、まっすぐ、並行に並べている。
これぞ、まさに、げんちゃんが周りを見始めて、秩序に対して意識を働かせ始めた証拠です。外に向かって意識が動いてきているのがわかります。」

なるほど、特別絵が得意でもない普通の人は、とかく、この絵のような、インパクトの少ない配置をしていきやすいです。だから、きちんと描けてはいるけれど、つまらない絵になってしまうことが多い。

げんちゃんは、つまり人並になってきた、ってことなわけなんですね~。何か納得。

「さらに言うなら、全体に立体感がなく、のっぺりしているのに、真ん中にあるチーズだけ、しっかり立体感がある。これも、目的意識が多少芽生えてきていることがわかります。」

いつも、Sさんの絵の解釈は、不思議ですが、納得します。その時はそんなもんかな、と思っていても、あとから、たしかに~ということが多いです。


確かに、どまんなかのチーズだけ、やけに見事です。

「このステージが、もう一つ二つ進めば、全体にもっと立体感が出てきて、しかも、またさらに、ユニークな構図になっていきますよ。芸術家のスランプってのも、こういう感じで起こっていくんですよ。なんか、まわりが以前より見えてくることで、かえって、絵が平凡になってしまうようなことです。あれに似てます。
でも、心配しなくてもいいですよ。そこを乗り越えれば、今度は、もっと良い絵になってくるから。」
 なんか、芸術家にたとえられるのも、ちょっと上げすぎとは思いますが、実は、私も、見た瞬間に、妙に凡庸な絵になっているカレンダーが、もしかしたら、普通っぽい感性に近づいたげんちゃんを示唆しているのかもな~と感まし。ですから、Sさんが説明してくれたとき、ずばっと、私の感覚を言葉にしてもらったようで、納得しました。

真ん中のチーズだけ、妙に気が利いているのも、確かにおもしろいです。

絵は、ほんとに見る人が見れば、子供の状態をよく表しているものなんですね。


これを持ち帰ったげんちゃんは、ちょっとほこらしげに、
「ぼくがんばったよ~。気持ち入れてやったもん。」
などと言うので、

「あのね、好きなことに、気持ち入れてがんばるのは、当たり前のことよ。そうではなくて、自分が苦手なことに、気持ちを入れて、がんばってみることこそ、大切なことだから。勉強に気持ち入れられたらすごいけど。」

私は、すぐに、げんちゃんが勘違いするし、すぐにのぼせるので、にこりともせずに、慎重に言葉を選びます。

確かに、Sさんが絵画をまだ早いと.言ったのは、わかるような気がします。楽しいから一生懸命になる。楽しくなかったら、一生懸命にしなくてもいい。そういう価値基準が平気で生まれる気配を感じました。

「げんちゃん、絵画だけしかがんばらないのなら、やめさせるから。好きなことだけ一生懸命するのは、別になんということもないことだから。普通の人は、どんなことでも、やらなきゃいけないことは、がんばります。あなたも、やらなきゃいけないことをしっかりがんばっていかないとね。まずは勉強や、言われたことをきちんとがんばる。」

はたから見たら、鬼の母親に映るのかもしれませんね~。好きなことをさせるのは、今は早いなんてね。
お子さんによったら、好きなことを突破口にしていく方が良い場合もあるでしょうからね。

でも、げんちゃんに対する処方箋は、確かに、絵画は今、ちょっと微妙なカードかもしれません。絵画を上手に使うには、なかなかしたたかな演出や言葉かけがあるようです。気を抜けません。

ちなみに去年のカレンダー。立体感はやっぱりないけど、構図はユニークです。確かに、2019という数字も、我流でふぞろいです。こうして比べたら、やっぱり、今年は、常識感あふれる絵といえるのかもしれない。・・・

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  1. robo_223 より:

    絵から色々なことが分かるのですね。S先生のお話しがとても分かりやすくて参考になりました。貴重なお話しを記事にして下さりありがとうございます。

    一見すると、確かに去年の絵の方がインパクトはありますが、今年の絵の方が普通の感覚が表れていますし、目的意識もあるのですね。げんちゃんの成長過程が分かりますね。また、アーティストのスランプの意味もよく分かりました。

    そう言えば、robo自身も、僕は最近、色々なことが分かるようになって来たから、しょっちゅう緊張するようになっちゃったんだ、などと母に話していました。

    緊張のし過ぎで、高熱を出したりするようになってしまったくらいなので、本人も自分に判断能力がついたことを感じているようです。また、絵もずいぶん上達しましたので、内面の変化が大きいことを感じました。

    確かにroboの場合も絵の変化と内面の変化は連動していましたが、本当に絵には全てが表れているのですね。

    roboは以前、癇癪を起こしていたくらいなので、強く意地をはれるタイプなのかもしれません。この意地がいい方に働けばプラスになりますが、悪い方に働けば大きくマイナスの方に転がって行くタイプなので、心配です。

    でも、げんちゃんの場合は、派手に転がらないだけに、周囲は油断してしまうかもしれませんね。ゴロリンゴロリンとゆーくり転がっているので、成長にも気づきにくいですが、悪い方に転がっているのも気付きにくいと思います。

    でも、そこにS先生の的確なアドバイスが入るので、安心ですよね。ちょっと見た感じでは、良くなっているのか悪くなっているのか、そして、どのように導くべきなのか分からないと思います。

  2. nikon_leica より:

    私の息子もそうですが、「自分が苦手なことをがんばれるようにする」は将来的にも必須ですので、乗り越えなければならない壁ですよね。
    ただ、教えてどうにかなる程簡単ではありませんから、本人自身の気持ちが大事ですし、げんちゃんママさんのように我が子をしっかりと見て、「どうやれば良い方向へ向かうか」を見極められる親でなければ、と拝読しながら自身にも言い聞かせています。

    絵ですが、げんちゃん凄く良いセンスを持っていらっしゃると思います。
    私も子どもの頃から絵が好きで、美術を学び、今年で25年のデザイナー、アートディレクターとして働いています。
    ネズミの絵ですが、構図が綺麗です。
    色の塗り分けも丁寧で配色もまとまっています。
    好きなことだけではいけないと思いますが、絵の才能がありましたら、その方向もありなのではと、絵を拝見して思いました。

  3. glow-gen より:

    ロボママさん
     げんちゃんの絵や、合宿で作った陶器など、Sさんの解説を聞くと、なるほどな~と思うことが多いです。

    今回の絵は、一瞬、しばらく休んだから下手になったのかな~と思いました。ねずみは、極端に平坦なのに、真ん中のチーズだけ立体・・・なんでも、インターネットのねずみを見て描いたとか言ってたから、なにかしら真似がしているようですが・・・・チーズは自分で描いた、と言ってたんですよね。
     以前何人かの大人の方を、Sさんが指導されていて、その方たちに陶芸をさせたことがありました。その作品を写真で見せてくれて、作った人と、作品に現れる、彼らの心を端的に言い表されて、びっくりしたことがありました。たまたま、作った人が知り合いだったので、なるほど~と思いました。
    若くてまだ自信のないお嬢さんの作品は、こじんまり小さくまとまった感じでしたし、解説されると、どれも納得。
    おもしろいものですね。
     言われたらなるほどと思いましたが、自分ではわかりませんね。
     ロボ君も、以前、比率や遠近がしっかりした絵をアップされていましたよね。すごいな~と思いました。絵に客観性があって、ロボ君がすごく社会に適応してきている様子を感じました。
     げんちゃんは、良い意味での意地を張ったりできません。
    周りがみんな自分のために必死になっていても、ぼくはかんけいな~い・・と無関心でいられる人間です。ほんとに、私たちはそこに四苦八苦しています。
     確かに伸びているんですごろんごろん、的をしぼらず、なんとなく進んでいっているような感じで、ほんとにきついです。
     あれから、また、どかんと落ちて・・・落ちた時と良い時のギャップがさらにまた、激しくなっています。
    Sさんが、あきれ果てていました・・・泣

  4. glow-gen より:

    Naoさん
    コメントありがとうございます。ブログのNaoさんの写真素敵ですよね。そっちの道で名をなしておられるんですね~。
    そのNaoさんにほめられてうれしいです。多少は、げんちゃん、絵の感性があるのでしょうかね~。
     げんちゃんを、正しい方へ導くのはほんとに大変です。
    少し、意識が入るようになったのですが、やはり、平気で抜いてきて、抜いていないように見せることだけに、エネルギーを使っております。そこがほんとに巧妙で、K先生は、詐欺師にでもなるつもり! と言って、説教したらしいです。今日は・・・
     発達育児とは、すなわち、人間としてまっとうな道をつけてやること・・・・それにつきるように思います。
     知り合いの支援クラスのお嬢さんは、発達障害ではなく、勉強はあまりできないようですが、最初っから、ちゃんと人の道がわかります。むしろ、正直で武骨なぶん、普通より信頼され感心されるくらいです。
     それにくらべて、げんちゃんは、驚くほど、正しい常識感や、感性がついていきません。
     ここを失敗すれば、大変なことになります。18歳までくらいに、人は、そのベースが出来上がると思いますが、まだまだ四苦八苦しています。ここで、失敗すれば、監視下でしか社会に出せないです。何を、どのようにしでかすかわからない・・・・それがげんちゃんです。
     ほんと、まだまだ気がぬけません。 1

  5. glow-gen より:

    Mさん
     配色をほめてくださってありがとうございます。
    色は、確かにすっきりしてますかね~。
    しかし、お嬢さんすごいですね。リンゴの皮むき大会で、結果を出すために自らがんばるなんて、げんちゃんにはないです。

    ピアノの発表会の前2週間だけでしたね。そういう姿を見たのは。
    あとは、やらされたり、こっちの演出ゆえに、なんとか少し、そういう意欲を見せることが、あるかな~。。。いや、ないかも・・・汗
    そんなもんですよ。
    それほど、げんちゃんは、すべてが他人ごとです。
     いろんなことを、自分のこととしてとらえられないようです。たぶん、ずっと私たちがなんとか引き上げてきたので、とてつもない甘えの構造があるんじゃないかって思います。
     もともとの、横柄で図太い性格のため、少々のことは、なんとなるんじゃない・・・ってどこか馬耳東風・・・

     この絵の分析のように、多少意識が入るようになっているのに、まだまだのらりくらり、ポーズだけに走っているげんちゃんです。
     お嬢さんの真摯な思いは、ほんとにみごとです。げんちゃんにも、そういう心が芽生えてくればいいと願います~。

    苦手なこともやらせる・・・・これは、ある程度正解ですが、性格によっては、得意なことから自信をつけてあげて、苦手なことにもっていく・・・というタイプもあると思いますよ~。
     げんちゃんは、とにかくずるい。自己反省というのができない子で、自分を傷つけることがないんですよ。だから、好きなことをやらせて、それで満足すると、これでいいじゃん。
    と、何も広げようとしないんです。めんどくさいことは、あくまでも、やらない。楽をしよう楽をしよう・・・というのがすごい。

    まあ、げんちゃんじゃなければ、ぜんぜん違う処方箋になっているのかもです。それほど、げんちゃんは特殊だと思います~泣

    だけど、やりかたの違いはありますが、人はみな、嫌いなことや、避けたいことにも、まっこうから取り組まないといけないことだらけですね。

  6. glow-gen より:

    mさん
    そうですか~・・・。絵をほめてくださってありがとうございます。
    幼稚園児みたいなおもしろさはあるでしょうか・・・。
    色も確かに、グレーに塗っちゃう子もいるかな?
    確かに私に描けるかと言われたら描けませんが・・・
    げんチャンっぽくないな~と思いました。なぜそう思ったのでしょうね。
     以前描いた絵は、どこかでぶつっと切れていたり、普通ならこう描くよね・・・みたいなのがずれていたり・・・それがかえって、面白みを出す。
    しかし、今回は、すべて、こじんまり画面におさめていて、斜めの線も少ない。げんちゃんにしては、お行儀がいいんですよね。どこか絵が

     今言葉にしてみたらそんな感じでした。
    でもその中に、良いものがあるんだったらうれしいです。
    書いてくださってように、絵本を描いたり、そんなことができたら、ほんとにいいですね~。

    しかし、まだまだ、人としての部分が、すごくひどい状態なので、そこを上げていかないと、将来が見えません。
    そして絵は、Sさんの言葉を借りるなら、感性と感情だけの絵から、常識感が入り、やがて、心の意識から絵が出てくれば、それはすごいものになる・・・らしいですが。
    遥かなる世界ですね~。
     げんちゃんという器は、でかすぎて、(笑)私たちのエネルギーをどこまでも吸い取っていきますよ~。
    これが+転化したら、いい絵を描くのかもしれませんね~。
    そんな日はいつくるのでしょうか・・ははは まだまだ格闘の中です。

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