GWの初めは、今年から高等支援学校に進んだ大介君と、福岡の大きな公園に行きました。
だいちゃんは、そこへ行くことを提案した時から、あまり乗り気ではありません。彼は、自分のテリトリーから出るのを、極端にいやがります。
もともとの性格は、慎重派で、臆病なところがあります。それにに加えて、家族は、だいちゃんを、障害があって何もできない、という感覚で取り扱っているようなので、彼は、学校と家以外、イレギュラーに他人と行動することはありません。
ルーティンという生活の枠からはみ出すのは、彼にとってとてもストレスなようです。
前から、げんちゃんとからませて、互いに成長させられるんじゃないか、と思っていた私は、しぶる彼を連れ出しました。
彼と合流して、だいちゃんの第一声
「何時に帰るの?」
いつ帰れるの? そう聞きたいのでしょう。
「公園は夕方には閉まるから、暗くなるまでには家に帰れるよ。心配いらないよ。それより、げんちゃんといっしょに自転車を借りて、サイクリングしましょう。」
だいちゃんはしぶしぶ車に乗り込みます。
げんちゃんは、いつになく、心が動いている様子で、重たい口も動いて、だいちゃんにあれこれ質問します。
「公園の新しいアスレチックを知っている? この間、高校で行ったときに、見たんだけど、やったことある?」
「知らない。」
大ちゃんはそっけない。
二人の会話を聞いていると、げんちゃんが、お兄さんみたいで、会話をリードしています。ちょっと自分の方が優位に立っているような感じがしている模様です。
たわいないこういう会話では、げんちゃんは、すこぶる普通に見えます。もともと饒舌でもないので、相手のペース無視して、好きなことを一方的に話すわけでもなく、まあ常識的な会話が続いています。
しかし、だいちゃんは、気が乗らないのか、時々、帰りの話をするだけです。
どこの駅から帰るのか、何時の電車に乗るのか・・・ほんとに早く家に帰りたい様子です。
それでも、公園で自転車を借りてサイクリングを始めると、二人とも、まんざらじゃない様子で、楽しみました。
アスレチックについたら、だいちゃんが、持っているカバンを私に預けてきました。
自転車のカギも、ちゃんと私に手渡し。自分の持ち物の管理などは、慎重に意識に入っているだいちゃんでした。
しかし、ふと見ると、げんちゃんは、持っているはずのカバンを持っていません。びっくりして、声をかけると、なんと、そのあたりの地べたに無造作においているではありませんか。
唖然としました。お金も、携帯も入っています。思わず叱り飛ばします。一歩踏み出した、だいちゃんを認めて、背中を押し、自分はできてるなんて、あつかましいげんちゃんを叱る。そうすると、やっとげんちゃんの心も動きます。やれやれ
げんちゃんにスマホを預けるのは極めて怖いと思う原因はここです。(いまだガラ携)
帰りの時間になってくると、まただいちゃんはそわそわ。そのうち、パパからだいちゃんにラインが入ります。
彼を送るはずの駅の周辺の写真。時刻などなど。パパから至れり尽くせりのラインです。
は~・・・
体操教室も中学2年まで、車で送り迎えしていたパパ。私の強い勧めで、地下鉄を使わせたら、あっというまに、できるようになりました。パパは、彼を自立させようとなんて、ぜんぜん思っていないのでしょうか。
臆病で後ろから押してあげないといけないタイプのだいちゃんには、今日の経験は、学びになったんではないかと思いました。だけど、最後のパパのおせっかいで、台無しになるな、と感じました。
大人がついているのだし、パパの役目は、
「なんでも、わからないことがあれば、おばちゃんに聞いたらいいよ。楽しんでおいで。」
と、ぽんと放り出せば、彼の世界も少しずつ広がっていくのに。たぶん、私が考えるより、パパは、だいちゃんをできない子だと思っているのでしょう。
だいちゃんは、げんちゃんより、算数もできるし、時間把握も、スケジュール把握もいい感じです。彼にないのは、チャレンジする気持ちです。
もっと、パパは、彼に何が必要なのか、しっかり見極めて、的確な指導をしてほしいな~、と思いました。
障害児って、ある意味、親や指導者によっても作られるものなんだと思いました。
げんちゃんは、だいちゃんと違い、帰りの時間も、全然把握していなかったし、自転車を返す時間も全く気にしてませんでした。あきれるばかりです。うっかりでもあり、大雑把。
だいちゃんがずっとできていたので、さんざんだいちゃんと比べて指導です。一人指導するより、げんちゃんの負けたくない気持ちに火がついていよかったです。
げんちゃんは、だいちゃんより、どうも自分が上という感覚がある様子。彼より、だめなんだよ、と、、見せつけることで、普通に指導するよりも心が動きます。
この二人は、一緒に指導すると、互いに効果が上がる組み合わせだな~と思いました。
対照的な二人です。
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