>最近、げんちゃんは、支援学校の高等部に行っている ひさし君とたまに遊びます。彼は、高校2年生で、小学校の支援クラスの先輩です。
もともとひさし君は、発達障害ではなく、幼少期の脳性マヒにより、軽い肢体不自由と、脳の一部に損傷を受けたせいで、知的障害と判定されるようになった子です。支援クラスも、肢体不自由のクラスですごしました。
小学校の支援クラスのママ友の中でいまだにお付き合いがある数少ないママのお子さんです。私がげんちゃんの改善に情熱をかけていた小学校時代、私の考えに最も賛同してくれたママでした。げんちゃんより、IQも低く、手足にわずかなマヒもあるために、一見げんちゃんより、障害がひどいように、はた目には感じるひさし君ですが、彼と付き合ってみると、彼の精神性の高さにはいつも驚きます。
「ぼくは、正しく生きる大人になりたいんだよ。」
こんなことを、だれに教えられたわけでもないのに考えることができます。彼は、手品が好きで、手品に関しては、少し不自由な指が滑らかに動きます。ある時、皆の前で手品のショーをしてくれました。ショーの始まるまでは、見ている人たちの多くは、障害を持つひさしくんの手品は、こっちが乗せてあげて、つきあってあげなくてはならないものだろう・・・と思っていました。
ところが、彼のショーは、なかなか見ごたえがあり、しかも、彼のトークは、会場の人たちの雰囲気をつかんだもので、こちらの心をしっかり読んでくるものでした。ちょっとした驚きが会場を包みました。
その後彼は、母親に、
「僕の今日のマジックは、僕の独りよがりじゃなかった?」
と聞きました。私はそれを見て、ほんとに驚きました。不随意運動のようにして、つい笑いが常時出てしまったり、つい口元からよだれが出てしまったりするひさし君と、彼のその精神性の高さは、一見結びつかないものだったのです。
そういえば、Sさんも、ある時、はじめてひさし君を見かけたた時に、こう言ったのを覚えています。
「あ~、あの子は、げんちゃんより、上だよ。彼は、人生に対して、いつも向上することを当たり前と思っているからね。げんちゃんは、あの子を見下しているようだけど、大間違い。げんちゃんより、はるかに改善させやすいし、ほっといても上を見る子だよ。訓練しないのはもったいないことだね。」
私は、あとから、ほんとになるほど~と思いました。
今日は、ひさしくんのママに博物館で開催している「なが靴下のピッピの世界展」に連れて行ってもらいました。迎えに行った時に、ママが言いました。
「げんちゃんは、ひさしより、ずっと普通だな~って思っていたけれど、いっしょにいたら、げんママが言ってる彼のトラブルがなんとなくわかった。こういうところを言うのかな?って思ったよ。」
たぶん、今言ったことがぜんぜん入ってないとか、整合性のないことを平気でする、とか、まあちょっと彼といっしょにいたら、だれもが違和感を感じる行動がちらほら出てきたのでしょう。ひさしくんは、そもそも、一人で家にほっておけない、とか、一人で出かけられない、とか、そういうことから困っているので、ひさしくんママにしたら、げんちゃんは、ずっとひさしくんより上だなんて思うのかもしれませんが、普通に安心して見てられる、というわけにはいかないことが飲み込めたみたいでした。
ひさしくんとげんちゃん、どちらも、周りの状況からの違和感は拾ってくるけれど、(げんちゃんだって多少は拾ってくる。)ひさしくんは、それを捉えすぎて消化しきれないくなるし、げんちゃんは、違和感と思ったら、すっと捨てちゃう。まったく真逆な反応を示すようです。どちらにしても、それらを正しく消化させるためには、細かく説明してやらないといけない、という点では似たようなものなのかもしれませんね。
げんちゃんは、それをしなければ、スルーだし、ひさし君は、一人影響を受けまくって、自滅する・・・・
そんな二人なので、二人遊ばせると、互いにとてもいい影響を与え合っているのかもしれません。
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