ママの格闘と改善のダイアリー

自分の子が発達障害?
それって何? から始まった。

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野田あすかさんの楽譜が読めない、がよくわかる。

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  野田あすかさんという、発達障害のピアニストのドキュメントを見ました。
 30代の彼女は、最近、ピアノ演奏とお母様の講演を合わせた演奏会を各地でされているそうです。とても興味深く見ました。
 
 目が釘付けになったのは、彼女が、楽譜が読めない・・・というところでした。小さいころから、どうしても楽譜が読めなくて、大好きなピアノ演奏をするために、あらゆることを試して、楽譜をものにする彼女のスタイルを手にしたのだそうです。

 そのやり方は、まずは、五線譜に補助線を引き、なんとか譜を読み取り、それを、口に出して、録音する。今度は録音した声を聴きながら紙に書いていく。リズムも、また、同様に一つ一つ拾っていって、書いていく。
 それを最後に、一つにまとめて、音程のイメージを線で表していく。

 正確ではないかもしれませんが、とにかく、え~!っと思うようなめんどくさい工程を経て、彼女が楽譜を自分で弾ける形に翻訳するのです。長い複雑な曲なら、その工程だけで、何十日もかかってしまいます。普通の人なら、その段階で、挫折しそうですが、彼女は、それをコツコツ続けて、やがて、演奏につなげていくようです。

 私は、テレビでその光景を見て、かつてのげんちゃんの姿がありありと思い出されました。どんなに、教えても、楽譜が読めない・・・ここは、ミだからその上は何?と言っても、わからない。ドレミファソラシドは、言えるのに、ミの上が何かわからない。違和感は無限にありました。わけわからない! 私は、泣きそうでした。先生は、譜読みも大事だけど、まずは、指が動くことが大事、と言って、音と弾き方を口承で伝えるようなやり方でげんちゃんに、なんとか教え込んでひかせていました。

 ピアノの練習をさせることは、私にとって、ストレス、すさまじいストレス。エネルギーも気持ちも、すべて彼に吸い取られるようになりながら、へとへとになってげんちゃんにピアノをやらせていたことを思い出します。まさに、気が狂いそう・・・そんな感じ。

 ある発達障害の女性が、
「私たちは、ピアノなんて無理です。両手の指がそれぞれ違うことをするなんて、脳が混乱しまくります。げんちゃんは、ピアノが弾けるなんてすごいです。」
私にそう言ったことがありました。確かに、げんちゃんが、ピアノが弾けるまでの行程は、涙なくしては語れない、そんな感じです。

 5年生くらいだったか、半年に1曲のペースで、多少は進化していっていたピアノでしたが、譜読みがあいかわらずできないのを苦にした私は、先生になんとかならないか、相談しました。先生は、それにこたえて、チューリップくらいの簡単な曲ばかり集めた本をげんちゃんに与え、練習曲とは別に、自力で譜を読んで弾くという課題を出してくれるようになりました。

 ほんとにコツコツコツコツ・・・学習も普通の子より、膨大な時間がかかるのに、ピアノまで練習させるのは、ものすごいエネルギーがいりました。思い出すだに恐ろしい! 

 しかし、やはり継続してよかった。げんちゃんは、今、なんとモーッツアルトのトルコ行進曲を弾こうとがんばっているのです。半年近くかかって2ぺージという遅滞ぶりですが、げんちゃんは飽きもせず、少しの時間をとってはコツコツやっています。今では、横でついていても、昔のようなストレスは少ないです。本人がやりたいと意欲的だし(クラッシック音楽にはまって、自分からリクエストした曲ですものね。)譜読みも、なんとか、自分でカナうちしたりして読めています。

 野田あすかさんは、形態認識が弱いので譜読みができない、と解説されていましたが、げんちゃんの形態認識は、あすかさんより良くなったというのでしょうかね~・・・

 でも、それなら、なぜげんちゃんより、譜読みができないあすかさんが、あれほど素晴らしい演奏ができるのか・・・ほんとに能力だけではないのですよね~。それこそ強い意識世界のことを示唆するようです。

発達障害のげんちゃんに感じるものもあすかさんと通じています。大きなマイナスとともに、それを克服していける強い魂をもらって生れてきてる子たちなんだな、と思います。

ああいう報道では必ず言われるのは、”寄り添って”という言葉です。私は、この寄り添ってというのが、どうも、障害は変わらないものだから、こっちがしてあげる・・・と言う風に、解釈されやすいことを感じます。でも、げんちゃん育児を通して感じるのはそうではありません。
寄り添って、というのは、あくまでも、げんちゃんの今の能力を見極めて、伸びていける環境を作ってあげる、ということなのだと解釈しています。そして、能力の、1段階上、時には、3段階上(トルコ行進曲は、3段階上でしたね~。)を目指して、チャレンジさせる。その頑張る力、忍耐力、粘り強さ・・・弱いと思われている彼らの中に、ちゃんと神様が供えてくださっている。そんな気がします。

 ”寄り添う”のニュアンスに少し違和感を覚えながら、げんちゃんにビシバシ寄り添って(笑)、毎晩、ぐったり疲れて眠り込んでしまう日々です。

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  1. robo_223 より:

    私も「寄り添う」の解釈は、げんちゃんママさんと同じです。

    その時の子供の状態に合わせて、適切に働きかけたり、課題を与えたり、または、気持ちや立場を理解して上げる、という意味だと思っています。

    ですから、障害による特性が、一生変わらないという前提で、障害を受け入れる、という意味ではないと思っています。

    もしろん、障害という脳の状態自体は、そう簡単に変わるわけではないのですが、成長に伴って特性自体は改善されていきますし、しかも、マイナスに出ていたはずの特性が、プラスの方向に生かされるようになって行くこともあると思うからです。

    野田あすかさんも、楽譜が読めない、ということは、マイナスだったのかもしれませんが、音楽を愛する強い気持ちを生かして、素晴らしい演奏をするに至ったのだと思います。

    ただ、障害の診断がなくなるほど改善しても、完全にマイナスの特性がなくなるわけではないと思います。プラスをたくさん増やすことで、それが気にならないくらいになっている人はたくさんいらっしゃるとは思いますが、残ったマイナスの部分は、周囲が理解して歩み寄る必要があると思います。

    roboもADHDの診断がなくなる程、改善しましたが、やはり凡ミスなどが多いですから、そこは、完璧に直すことは難しいと思います。でも、まだ中学生ですから、これから少しでも改善するように親子で頑張って行きたいと思っています。

  2. みかんママ より:

    野田あすかさんって、子供のころから人とコミュニケーションがうまくとれず、苦しんでいたけど、子供時代は、勉強はできたんですよね。
    国立宮崎大学にも合格してるし。

    発達障害って大人になるにつれ、徐々によくなるイメージですが、あすかさんのように、二次障害の影響でひどくなる場合もあるということですよね。

    あすかさんを救った言葉でピアノの恩師の先生の「あなたはあなたのままでいいのよ」っていうのが印象的です。
    初めて自分を肯定してくれたこの言葉はあすかさんに新たな生きる勇気と自分の心を音楽で表現する力を与えてくれたみたいですね。

    発達障害育児は、自己肯定感を育て、二次障害を防ぐとよく言われますが、あすかさんのことを知るとそうなのかなとも思います。

  3. glow-gen より:

    ロボママさん
    私自身、げんちゃんの障害がわかるまでは、寄り添うというのは、ありのままの障害を受け入れてお手伝いすること・・・と思っていました。
    だから、発達障害とわかると、とてもショックでした。かわりません、だから、それを手伝いなさい・・・なのかと思って。
     でも、変わらないなんて、ありえない、と思って、私は改善のためにありとあらゆることをやりましたけど・・・
    そのうちに、なるほど、よりそう、という一般的な感覚は、こりゃ違う。とわかりました。
     野田さんは、テレビで見る限りでは、話している時も、目がきょときょとしていたし、障害の程度はけっこうきついんじゃないかな~と思いました。
    でも、子どもさんの時の話を聞くと、げんちゃんより、意識がちゃんと外に出てたんだな、と感じました。
    意識が外に出ていて、自分が何をしたいか、ある程度、握っているお子さんは、好きな分野を与えていくと、そこをどんどん伸ばせるように思います。
    お友達のお子さんも、げんちゃんより、できないことが多いのに、周りに対してのベクトルがでていて、好きな手品の分野を意識的に伸ばしていっています。
     人の人たるゆえん・・・意識、心・・そういうものをちゃんと自分で握れている人と、そうでない人、発達障害の重傷度は、そこで見ると、一般に言われている重傷度とは、違った範疇があるんじゃないかな、と思わずにいられません。
     ロボ君も、プラスを増やしてこられて、ほんとによく成長していますよね。これからも可能性にわくをつけることなく、伸ばしていきたいですよね~。

  4. glow-gen より:

    みかんママさん
    そうなんですか~。あすかさんの昔のことは知らなかったです。
    でも、勉強ができた、というのは、ちょっと驚きでした。形態認識などがだめだと、色々勉強にもつながるからです。もちろん、でこぼこも大きかったと思いますが。

    二次被害、というのはよく言われますね。余分なエネルギーをそこで使ってしまうので、本来の良いところを伸ばしたり、自分の課題にうちこんだりするのが難しくなりますよね。親としてはほんとに気をつけないといけないところですね。

     自己肯定感、よくそれを考えます。自分のずれた行動、ずれた考え方、げんちゃんのそういうとこは、しっかり、自分で間違いをにぎってもらわなければなりません。その上で、自分の存在そのもの、それは誰からも否定されるものではないということを感じてほしいと思います。
     あすかさんみたいに、人生って、色んな人との出会いが自分をつくっていくんですね~。
     あすかさんの情報は、色々なことを考えさせられます。ありがとうございます。

  5. みかんママ より:

    お母様の記事で、あすかさんは子供のころ、優等生で、得意な教科は音楽、数学 理科 苦手な教科は美術、体育、社会、 5と2がはっきりしていたそうです。
    こだわりと集中力は人一倍強かったみたいです。

    あすかさんの二次障害は、解離性障害、自傷行為や、パニック、過呼吸発作などなど?
    大変そうですよね。

  6. あつぞーパパ より:

    私の子供もピアノを習っていますが、最初、ドレミの音符を読むのに苦労していました。今、振り返って考えてみると、うちの子にとって数唱(数直線?)と音符の理解は似ており、ワーキングメモリーの低さが理解を困難にしていたと思われます。

    最初、1から10までの数唱は多少の苦労がありながら何とか覚えました。しかし問題は次のステップです。例えば「4の次は、何かな?」と聞いても解答できません。「1、2、3、4の次は、何かな?」と聞かないと、「5」と解答できません。当然ですが「7の次は、何?」と聞いても解答できず、「1、2、3、4、5、6、7の次は、何?」と聞いて、やっと「8」と答えられました。
    <1、2、3、4、5、6、7、8、9、10>という塊の暗記はできても、10という数は1という数が10個集まって構成されている、という理解ができていなかったと思います。ですから1から10の途中の数字を聞いても、頭にイメージが浮かばなかったと考えます。

    ドレミの音符も同様です。<ドレミファソラシド>を覚えても、「ミの次は、何かな?」と聞かれても解答できず、「ド、レ、ミの次は、何かな?」と聞いてやっと「ファ」と答えられました。
    それでも何度も練習しているうちに、シンプルに「8の次は、何?」あるいは、「ラの次は、何?」と聞いて、「9」や「シ」と解答が出るようになりました。(どういう思考回路の末の解答かわかりませんが)

    しかし当然のことながら逆唱は、その数倍も練習が必要でした。例えば「6の下の数字は何かな?」と聞いても解答できず、「10、9、8、7、6の下の数字は何かな?」と聞いてやっと答が出ていました。
    シンプルに「6の下の数字は何?」と聞いて、「5」と解答できるようになったのは、4年生の頃です。単純に座って逆唱していても効果がみられないので、マンションの非常階段を10階から一緒に降りて、9F、8F、7Fという表示を見せたり悪戦苦闘していました。(笑)

    ちなみに音符で「ファの下は、何かな?」と聞いても、おそらく今だに解答できないと思われます。怖いので、聞いてみていません。(苦笑)
    「ド、シ、ラ、ソ、ファの下は、何かな?」と聞けば、「ミ」と答えるかもしれませけど、、、 1

  7. growup_hana より:

    げんちゃんママさん

    トルコ行進曲にチャレンジしているんですね!スゴいですね~。ママさんの考える3段階上の曲に向かい合ってるなんて。これまでやってこられた事が導いた故なんでしょうね。

    うちの娘も発達に良さそうだというだけでピアノを習っていますが、最近は学校の勉強についていくのが大変なので今後ピアノとのかかわりをどうしようかと考えていました。

    継続してよかった、というげんママさんの言葉を見ると今のペースでなくとも、細々でもいいから続けられたらいいな、と思いました。

  8. glow-gen より:

    みかんママさん
    そうですか~。教えて下さってありがとうございます。
    げんちゃんは、形態認識、空間認識だめで、算数もからっきしわからず・・・というのがあるので、
    譜面は読めないのに、数学ができる、というのがなんだか不思議です。発達障害の症状は、やはり、ほんとまちまちですね~。
    それに、二次被害、大変だったんですね。テレビで見たときは、そこまでとはわかりませんでした。
    なまじ、勉強ができると、どうしても普通扱いされるところもありますよね。その中から今の活躍、すばらしいですね。

  9. glow-gen より:

    あつぞーパパさん
    そうなんですよね~。ほんとにげんちゃんの認知ってめんどくさい。ドレミファが言えるんなら、ミんp次はファってわかりそうなものですが、わかんないですよね。真ん中に補助線弾いてやって、その一つ上だからドでしょ、と言っても、下から数えたり。もちろん100の逆唱だって、どれだけ練習させたことか。
    今は、楽譜は読めています。6年生のときに、クラッシックにはまって、弾きたい、と思ったら、毎日譜うちしてました。それで、また読めるようになった。空間認知、形態認識、それに、読みたいという意識の焦点合わせ。どれも、なかったのでしょうね。

    やろう、やりたい、やらなくちゃ・・・・そもそもこれにかけるんですよね。難儀です。ほんと。

    何が改善して少しは読めるようになったのか、よくわからずに、やがて、できるようになった、ということは、多いですよね。
    でも、ピアノをやらせるのは、覚悟がいりますし、良い先生も必要ですよね。げんちゃんは、先生に恵まれました。

  10. glow-gen より:

    ハナさ~ん。
    そうなんですよ~・・・ピアノをさせるのは覚悟入ります。もう同じことをもういちどやれ、と言われたら、私はどんびきします。泣きます。オイオイと! やらね~よ!とすねます。笑
    それほど、大変でした。
     怒鳴りまくって、のどがかれました。そんな日も多多。いやあ、壮絶です。

     でも、やめようとは思わなかったですね。なんせ、げんちゃんの学校は、ピアノを習っている子は、大勢ではなくて、これくらいしか、他の子よりできることはない。とも思ったし。それなのに、ある日、自分で、適当に練習して一曲マスターした同級生の方がうまかったことはあります。
    でも、前回の発表会の動画をラインでその子に見せたら、
    「すっご~い!」
    とびっくりしてくれました。うれしかったですよ~。
    トルコ行進曲も、弾けるわけないでしょ。とどこか思っていたのに、曲になってきました。全部弾きこなしたら、めったにほめない私だって、べたぼめしますよ~。ブログでも、大いばりで書くかもです。
     あすかさんが、「できたときの喜びがすごい。」
    と発してましたが、まさにそういうことなのでしょうね。できたときの喜び、これこそ、発達育児の報酬でしょうか。がんばってください! 一週間に2~3日でも、やれば、続きますから。 1

  11. ゆうママ より:

    げんママさん

    もう期末テストは親子関係がめちゃくちゃになりました。
    げんちゃんは長時間勉強できるのがすごいと思います。私の力及ばず…です。
    意識どころか、悪態ついたり反発されるので、どうしようもなかったです。機嫌取りながらなんとかしたらもう少しよかったかもしれませんが、私も真正面から立ち向かっていくものだから、だめでした。

    ピアノ…やめなければよかったです。再開しようかな〜。やはり曲が仕上がって発表会にでると、達成感があります。勉強は達成感が感じられません(涙)
    ちょっと、何もかも投げ出したくなってきました。メンタル低下中です。

  12. glow-gen より:

    ゆうママさん
    お~~。わかりますよ~。よくがんばりましたね。
    子どもは、親の苦労や思いをぜんぜん理解しようとしません。とくに、発達の子は、親の心なんてぜんぜんわからない。げんちゃんはそうです。
    私は、もう一人では無理になってます。S先生とK先生が、げんちゃんをしっかり矯めてくれるので、なんとかがんばっています。この時期は、ほんとに荒れ狂う嵐のようです。普通のこでもそうなんですから、発達障害ならばなおさら・・・・
     ゆうママさんにも、ママの立ち位置をしっかり保護してくれる、良い協力者が現れてくれるのを願います。他人に矯められることがほんとに必要ですからね。
    「おまえは、お母さんにみすてられたら、普通クラスどころか、社会にさえ出れないんだよ。何を考えてるんだ。」
    S先生にしかりとばされてました。
     S先生曰く、げんちゃんは、ずるして、低い方に流れ込もうとしているらしく、そこを徹底的にぼこぼこにされたようです。笑
    私も、同じことをしてるんですが、母親だと、どうしても、なめてかかっています。ほんとに大変な時期、プラスへなんとかもっていきたいですよ~。

    ピアノ、確かに達成感がありますよね。たまたまクラッシックにはまったのが追い風になりましたが、普通の子より、やはり、すさまじく時間がかかってます。再開・・・・いいかもですね~・ ちょっとしたアクセントになったりしてね。

    ほんとにお疲れ様でした。

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