ママの格闘と改善のダイアリー

自分の子が発達障害?
それって何? から始まった。

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知的障害者には、学習はいらない、という考えは危ない その3 (A君のその後)

暮らしのルールブック

女性の体に触れて、警察につかまったA君のその後

A君は、支援クラスを経て、高等支援学校に行きました。あえて、寮に入れて、3年間をすごしました。
詳細は、以前のブログにある(その1)ので、省きます。 (その2)

彼は、警察に1泊2日留置されました。
さすがに、しょんぼりして、自分のやったことが、とりあえず大変なことと思い知ったようでした。
どちらかというと、彼は、げんちゃんタイプ。色んな経験が、なかなか気持ちに影響を与えることが少なく、図太く、時間が過ぎれば、何事も、後ろに捨て去って進むようなところがあります。

ですから、今回の件で、警察がからんで、ひどく印象的な結果を引き起こしたことは、彼の気持ちを揺り動かす点で、よかったと思いました。

しかし、1か月ほどして、事の顛末を聞いてあぜんとしました。

まず、警察からの対応です。
今後、交通機関などを使ったり、大勢の中に行く時、(つまり、女性の体を触ったりすることが可能な環境はすべて、という意味でしょう。)
親が付き添うように、と指導されたと言います。一人にするな、ということのようです。

彼は、障害者枠で、ある事業所に通っていますが、交通機関も親と一緒じゃないと、通えない、ということになりました。
自立を目指しているのに、これでは、動きが取れません。不起訴になった引き換えの、障害者枠指導といえば、そうなるんでしょうが・・・。

そして、職場からも、しばらくは自宅待機ということになって、A君は、一日中何もすることがなくなりました。

お母さんは、家族一丸となって、最初からやりなおそうと意気込んでいました。でも、自宅に閉じこもるしかなくってしまったA君です。

しかたがないので、お母さんが、福祉のサービスにコンタクトをとったところ、彼をしっかり育て治し、社会に出していく、という発想はどこにもなく、
「別に、外に出さなければいいじゃないですか。」
とこともなげに言われたそうです。

知的障害者は、知的障害者。外に出して問題がおこるなら、閉じ込めていればいい・・・・そんな感覚なのでしょうか。

お母さんは、途方に暮れ、私に相談してきました。

発達障害の罪悪感は、”やばい”、という一瞬の”感情”にすぎなかったりする。

さて、それと同じころ、A君は、自分のやったこともすっかり忘れ去ってるようなありさまでした。
高等支援学校の友達と、ラインでやりとりして、
「別にAがやったことは、たいしたことじゃないから、気にするな。」
なんていうメッセージを、彼が受け取っていたことも発覚しました。

発達障害の子は、物事を、刹那刹那でしか理解できない子も多いです。警察に留置された時は、確かに、大変なことをした、と思ったかもしれませんが、時が経つと、高ぶった感情は落ち着き、ほんとの意味での反省まではいきつかない。
ほんとの反省とは、感情で終わるものではなく、しっかりとした意識、理解と納得まで、落とされて行くものだと思います。

私は、ママに、
「知性や理性を働かせて感じ取る、ということをしようにも、言語力や、時間軸感覚、相手の立ち位置を理解する空間認知、もろもろ欠落しているんだから、まずそこからだよね。気持ち、意識の使い方も、難しいけど、訓練していかないといけないよね~。」
とアドバイスしました。

発達障害は、正しいことを認識する、魂というか、意識の働きが弱い。
それを使って脳を動かし、正しいつながりを考えようとして、初めて脳が活躍できると思っています。すべて、脳、という領域で、専門家は片づけますが、脳を動かす、もっと上の、”意識”とか”魂”の働きが弱いから、脳も使いこなせずに来てしまったのだと、私は考えています。

もう一度、スタートに立ち返り、両方の処方箋がいるんではないでしょうか。

私なりに、とりあえずの処方箋として、以下のことを、ママにアドバイスさせてもらいました。

ルールブックで、馬鹿正直に、ルールを勉強する

まず、障害者向けの、ルールブックという、とても良い本があるので、それを取り寄せることをお勧めしました。普通の人には、バカみたいに当たり前と思うような普通のルールを、もう一度、学習するのです。

小学校レベルの学習は必須

それと、小学校レベルの学習を、もう一度コツコツつみあげることです。

ずっとスルーされたままになったこれらの課題は、一足飛びにクリアすることはできません。コツコツ、積み上げてきたげんちゃんでも、まだまだなのに、ほとんど手つかずで来てしまっているA君の前に、立ちはだかる課題を思うと、はっきり言って、くらくらしそうです。

でも彼の家族が、彼によって、今後大迷惑をこうむることがないようにするには、やるしかないんじゃないか、と思います。
がんばってほしいです。

※暮らしのルールブックは、とてもよくできていると思っています。社会福祉法人 南高愛隣会、というところが出しているものです。年齢関係なく、持ってて安心、という感じです。ファックスして取り寄せます。


公開コメント 承認後公開

  1. Takeko より:

    知性や理性を働かせて感じ取る、ということをしようにも、言語力や、時間軸感覚、相手の立ち位置を理解する空間認知、もろもろ欠落しているんだから、まずそこからだよね。気持ち、意識の使い方も、難しいけど、訓練していかないといけないよね~。

    という部分に激しく同意です!

    げんちゃんが小学生ぐらいの頃もコメントさせていただいた記憶があるのですが、発達障害の子の場合、行動障害と精神疾患が起こらないように育てることが最大の目標になります。一般のお子さんは行動障害と精神疾患が起こりにくいのですが、発達障害の子の場合、起こることがデフォルトと考えていいくらいですよね。

    ですから、言語能力、空間認知能力、時間感覚の獲得のために、教科学習、社会のルール学習、耐性トレーニング、体作り、ライフスキルの獲得などが必要ですね。

    そして、これらのことをコツコツ積み上げて行けば、行動障害と精神疾患が起こりやすいというリスクを軽減するだけでなく、その子の良さや強みも同時に引き出すことにつながると考えています。

    発達障害があると、周囲より劣っている部分ばかりに気を取られ、能力開発さえすれば万事オッケーと思われがちですが、その背後にもっと大切なことがあることに気づいていただけたら嬉しいです。

    まして、生活訓練だけしていれば、いいわけないですよね。それで彼らが周囲と協調して幸せに暮らせるなら、こんな楽で夢のようなことはないと思いますが、実際はなかなかないことだと思います。

  2. げんちゃんママ げんちゃんママ より:

    Takekoさん
    コメントありがとうございます。
    げんちゃんは、精神面の異常(魂の失調というか・・・)と、低い知的能力、身体能力・・・
    やれやれ、すべてがだめだめの子でしたから、すっきり、二つの異常ということに気づくまで、ちょっと時間がかかりました。
    アスペルガー的なお子さんの方が、能力が高い分、親は、手に負えない、精神の問題を考え、本質に到達するのが早いのでしょうかね~。まあ、どちらも、とらえにくい障害だと思います。
    しかし、とにかく、この二つの面がそろわないと、まともに、社会生活が独立して行えないのは確かですよね~。
    そういう意味で、それをささえる、小学校レベルの学習は、どの子も、必須です。
    やれどもやれども、なかなかついていかない子もいると思います。げんちゃんだって、それに近かったです。
    高校に入って、そろばんを習い始めた最初は、数字の感覚のなさにあぜんとして、家で、S先生の特別指導がありました。
    普通の教え方をしても、なかなか溝になっている能力はついていきにくいです。実は、ここにも、意識障害が存在し、そろばんの反復をするだけではだめなんですよね~。独特な教え方をされていたようです。

    あ~なんて、ひどい障害!!!
    しかし、やっていくしかない。A君のママは、そこまで追求して教育していないのですが、それだって、しかたのないことだよね。と言いたくなるほど、困難を極めます。

    でも、だからといって、放置すれば、家族を巻き込むほどの、今回のようなやばい事態を起こす可能性は、十分にはらんでくる。ほんと家族としては行き場がないですよね。

    高等支援学校には、親に放置され、親のサポートもないみなしごのような子もたくさんいると聞きました。親が投げ出したくなる気持ちもわからなくはないです。

    しかし、やるしかない。とにかく、今日できることをやる。それだけです。A君とげんちゃんは似たところがあります。しかし、かたや、げんちゃんはあらゆる取り組みをやってきました。A君は、一般的な歩みをしてきた。
    もしかしたら、A君は、何もしなかった場合のげんちゃんなのかもな~と思います。

    「家で何してるの?」
    「ゲーム」
    「ゲームばっかりしていて、働いて自立することができるの?社会で使うために、勉強をしなきゃ。」
    「勉強はきらい。」
    「それで働ける?」
    「働ける」

    これは、最近彼に合った時の、私との会話です。出口のない今を感じました。
    もっと早く、ママは、色々取り組んでいっていたらよかったのかな~。
    批判することは簡単ですが、もともとの課題が、大きく難しすぎるのが、この子たちだと思います。できないのがあたりまえ、と言っても大げさではないと思います。

  3. げんちゃんママ げんちゃんママ より:

    非公開Rさん
    A君を追い出したら・・・という気持ち、わかりますが、追い出して、どこが面倒を見てくれるのでしょうか。
    そこで事件をおこせば、また家族の責任を問われ、社会的に崩壊します。

  4. Takeko より:

    お忙しいところ、いつも丁寧な返信をありがとうございます。

    小学校4年生ぐらいまでの学力が身に付けば、将来自立的に暮らして行ける準備がが相当整うように思います。また、意識の使い方を整える面でも学習がとても有効ですね。ですから、どの子も少しでも学力が身に付くように努力させて上げたいと思うのですが、なかなか、そういうアドバイスをする場所がないのが現状です。

    A君のママも情報不足の中、子育てをされていたのでしょうから、仕方のないことだったと思います。

    げんちゃんママさんは、初めから、しっかり、げんちゃんに学力をつけて上げる努力をされていて素晴らしいと私は感じていました。

    しかし、頑張っていらっしゃる方が珍しくて、しかも、あまり意味がないと言われることの方が多いと思います。そして、勉強させるのは大変ですし、結局、親が主体となって頑張るしかないので、その言葉が呼び水となって早々と学習をあきらめてしまうケースが多いのは残念なことです。

    一般の子には必要で、発達障害や知的障害の子には学習が必要ないなんて、どんなエビデンスがあるのか分かりませんね。

    ただ、学齢通りに必ずしも進める必要はなく、子供に合ったペースで進めても良いということがあるだけだと思います。例えば、げんちゃんのように義務教育までは、学齢通りに進めて、高校からは復習を含めて行くというのも1つの方法だと思います。そんな風に上手くアレンジ出来れば理想的ですが、それも、どなたかの的確なアドバイスがあれば、取り組みやすいんですよね。

    S先生がげんちゃんを導いて下さるので、本当にありがたいですね。そろばん1つにしても、表面的なことをやっているだけではなく、魂に働きかける方法が必要だと思います。

    また、皆さん、S先生のような方法でアプローチした場合に知的理解力が格段にアップして、一般の人と遜色なく暮らせるようにならなければ感謝に値しないと思う傾向にあるのですが、そういう表面的な結果だけを求めるよりも、もっと大切なことがあると私は思っています。ご本人も家族も誇りと生きがいを持って生きて行けるように導いて下さることが貴重なことだと思っています。

    • げんちゃんママ げんちゃんママ より:

      Takekoさん
      コメントありがとうございます。
      ほんとにそうですよね~。結果がすぐに出る、というものでもないのが教育ですから、やる方としては、やる過程を楽しむくらいでないと、続きませんね。
      げんちゃんも、日々は、伸びんな~、と思うことばかりです。
      でも、やはり、最初を考えると別人です。何事も、コツコツ日々の積み重ねが大事ということでしょうね~。
      夏休みは中学の同窓会でした。2人も支援学校の校長先生になっていてびっくり。
      とても素敵な友達なので、支援の子に対して、同じような考えを持っていました。
      表面的に、障害者枠で働けるようにする、というのではなく、内面の力をつけていくことがだいじ、と言って今いました。
      しかし、今の日本の行政は、とにかく予算をけちって、財務省が予算配分しないようです。嘆いていました。
      そんな中で、現場の先生が自らの工夫でがんばっていらっしゃるようです。
      先生との出会いも、大切だな~と思いました。私の同級生のような、もともと人間力のある人が先生になってくれると、子供たち幸せです。
      Takekoさんも、その一人でしょう。げんちゃんは、S先生をはじめ、すぐれた先生に出会えています。だからこそ甘えがすごい、という面があります。
      もう選挙権も与えられる年になったのですから、もっともっと自立してがんばってほしいです。
      最近は、琴を習い始めて、はまっているようです。はまってといっても、まあこっちから見たら、普通、って感じです。げんちゃんのタイムスケジュールも大事ですが、やはり、そうそうのんびりもしていられません。

      しかし、A君のママのように、成人してから、軌道修正しようとしても、なかなかです。知的障害の子こそ、学習が大事、ということを、早くから、周りの人がお母さんにおしえてあげる環境が整うといいな~と思います。

  5. とんまま より:

    こんにちは。
    Aくんのその後を教えてくださり、ありがとうございました。

    なんと、今後一人で行動するなって…
    とんちゃんが小学校の時、登校班の他の父兄から「フラフラしているから(歩き方)付き添え」と校長経由で言われたことを思い出しました。
    これでは困りますね。
    再犯防止のためでしょうが、Aくんのためにはなりませんね。
    障がい者からの視点ってないのですね。
    ちなみに付き添えと言われた時、横についていてはこの子のためにならない、付き添わなければ何もできない子になってしまう。
    と伝えました。
    離れた所から(わからないように)ついて行っていました。
    この親、子供会の行事にも付き添えとか言ってきたのですよ。
    障がい者=付き添いと思っているのでしょうね。
    うちは自立してもらわねば困るとその親にはっきり伝えました。

    何度も何度も練習しないと出来るようにならないのですよね。
    その訓練しているのに。

    私たちはコツコツやっていくしかないのですよね。
    学習だけでなく生活面も含めて。

    ルールブック、ネット検索しました。
    なんと、某サイトでは数千円の高値で売っているじゃないですか。
    元々の販売しているところでは送料入れても千円以内なのに。
    しかも売り上げは寄付と書いてあり、利益にはならない。
    何だかなぁ。
    私もこの本を申し込んでみました。
    情報ありがとうございました。

    • げんちゃんママ げんちゃんママ より:

      とんままさん
      周りの父兄に、つきそうように、と言われたことがあるんですね。
      確かに、そうすれば、自分たちが面倒をみなくていいし、責任もない。
      でも、こういう子を少し配慮することによって、健常児も成長することもあるんですけどね。
      こういう幅をなくしていっているのが、今の社会のような気がしますね。

      うちの母が言うには、特に支援クラス、なんていうのはなかったけれど、なんとなく、昔はみんなでいっしょにやっていたように話していました。
      地域で、そういう人も、仲間にいれて、なんとなく、社会が進んでいっていたような。

      支援教育が進んだのは良いことだと思いますが、単にセパレートする、という風潮が浸透してしまった地域もあるように思います。
      なんか、この、ゆる~い枠感は、大事です。

      そういえば、LGBTのようなものも、昔から、日本はゆる~く、それなりにやっていたのに、あえて、ぎすぎすのルールを作って、かえってぎこちなくなってしまっているような・・・

      教育も、どこかゆる~い枠感覚の方が、子供たちは伸びる面がありますよね。
      今の社会は、どの子にとっても、なんか生きにくくなっています。
      だから、ここまで枠からはみ出した子供を持ったら、自由にやっていけばいいかな、と思います。
      来年は卒業ですが、まあ、まだまだ教育が必要です。25歳くらいまでには、実力をばっちりつけられないものかな~・・・社会もその頃になっていると、またすごく変わってしまっているんだろうな~と思います。よくなっている気がしないのが悲しいです。

      ルールブックそうなんですか・・・私はこの本を、S先生のクライアントさんの学校の先生から教えてもらいました。S先生は、何人かの指導者を指導されています。

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