
調理師専門学校の面接は、基本的に「面接だけ」と聞いていました。
それでも、そこに辿りつくまでの道のりは平坦ではなく、前日には信じがたいほど不安定なげんちゃんの姿があり……。ほんとどこまで、こいつは、精神疾患なんだろう、と思いました。
面接前日、最悪に崩れ落ちた意識
調理師専門学校の試験は面接のみ。とはいえ何度練習しても、少し突っ込まれればボロが出てしまう状態です。そのくせ、げんちゃんのどこかに“舐めている”ような態度があり、勝手に、いっぱしの料理人になってるような妄想が見え隠れたりもします。
前日彼はさらにおかしく、さっき言われたことすら聞けていない場面が連発しました。○○をやってね、と言ったことが、勝手に書き換えられたり、なんか言うことが支離滅裂だったり、「また、飛んでる」と私はあきれます。ただ「舞い上がっているだけ」という見方もできますが、S先生いわく、完全に自分を失っているとのこと、しかたないので、夜、S先生に調整してもらう始末! ほんとどこまで贅沢なんだか!
質問のための質問――学習塾の先生も頭を抱える
前日、学習塾の先生も「今日は本当にひどかった」と言いました。ぱっと見は質問をたくさんしてくるので、まとものようにも見えます。ところが内容は、問題文に書いてあることを、そのまま聞いているだけ。ポーズをつくることに終始したようです。
長くげんちゃんを見てきた先生だから、騙されません。
「完全に抜けてますよね。ましな日からしたら、完全におかしい。」
やれやれ・・・
ネクタイの締め方さえしどろもどろ
面接の朝、普段着慣れない紺のスーツ、ボタンダウンの薄黄色のシャツ。紺地にストライプのシャツ。あきれることに、高校3年間やっていたネクタイの結び方すら忘れていたげんちゃん。「終わったことは全部捨てる」――なるほど、そういうことなんだ。とあきれるばかり。
当日は、S先生のおかげで、ましになっています。普通に緊張していたのでしょう。ぶつぶつと面接練習を繰り返していました。
前日S先生に調整していただいてなければ、いつもよりひどい何かがおこったのかな?とあきれながら彼を送り出します。
まあ、なるようにしかならない。送り出したら、もうこっちも気にするのはやめました。
帰宅したげんちゃんの姿に思わず絶句
昼過ぎ、げんちゃんが帰ってきました。驚いたのは、そのスーツ姿です。
カッターシャツがズボンから全部出ていて、ブレザーの下からはみ出している。まるで幼児じゃあるまいし、何してるんだか!
スーツに慣れていないとはいえ、皆言葉を失います。
そういえば、高校の時、ホテルの給仕のバイトに行った帰り、駅の階段から降りてくるげんちゃんが、カッターシャツをズボンから出し、酔っ払いみたいな恰好をしていたことがあったな、と、顔をしかめます。そんなブログ記事を書いたことを覚えています。
面接は浅い質問のみ。
面接は集団面接で、深掘り質問はなかったということでした。
高校でクラブ活動をしていましたか?
なぜこの学校を選んだのですか?
といった、想定していた質問を何問かされただけだったようです。
面接の様子をたどたどしく話したあと、げんちゃんはエネルギーを使い果たしたのか、電源オフのように静かになりました。緊張感が切れると、また独自世界に落ちていく。
日常に染みつく「雑さ」と「いい加減さ」
なんだか、端と端に極端に振り切るようなげんちゃんです。なんでちゃんと自分を程よい緊張状態にもっていくことができないんでしょう。極端に抜くか、浮足立つか。
自分をしっかり保てば伸びるのにと思います。
そのためには、日々の小さな行動に、気持ちを込めるしかないと思っています。
しかし、げんちゃんは、根本的に雑でいいかげんです。何事も言われるからする、言われなくなれば、めんどくさいからやめる。例えば、
ブレザーをハンガーにかければ襟が必ずぐちゃぐちゃ。ひるがえっている。
電気つけっぱなし、エアコンつけっぱなし。
カバンの中はぐちゃぐちゃ。机の上は消しカスだらけ。
掃除機はかけても、ただかけたと言うだけ。
食器を洗えば、洗い残しが必ず。
彼が離れた勉強テーブルは、ノートも筆箱も、放置。散乱。
何百回言っても変わろうとしません。
こうした一つ一つのの雑さ、いい加減さ一連の行動自体、今取り組んでいるちょっとした行動に、しっかり意識が入っていないということがわかります。やる気なし!一つ一つに気持ちをいれないなら、全体としてで完成されるわけもなし!
「料理で伸ばすしかない」――料理作戦を本格化
料理は、訓練のアイテムとしては完璧です。本質的なこういう精神疾患的異状を、料理で少しでも改善しようと、コツコツ取り組んでいます。料理は結果が分かりやすいし、一つ一つの意味を考えながら、丁寧に取り組まなければ、うまくできないし、その時はできても、ただやりっぱなしになって、次はできません。
休みの日は、朝から晩まで料理漬けの日もあります。たとえば、
- 朝:味噌汁、目玉焼き、サラダ、
- 昼:げんちゃん一人でピザトースト
- おやつ:手作りりんごケーキ
- 夜:ちょっと凝ったキーマカレー
というフルラインナップ。味噌汁だけは、結構安定しています。
たくさんのレシピが混在するときは、段取りは壊滅的で、マルチタスクは夢のまた夢。それでもこつこつ細かく考えさせ、指導しながら経験を積ませていきます。コツコツとしか伸びてはいけないげんちゃん。根気の一言!
初めて一人で作らせたピザトースト(上写真)は、見た目こそ形になっていましたが、食べるとまずい。
- 玉ねぎは大きなくし切りのまま生
- ピーマンも生
- チーズをのせて電子レンジでチンしただけ
玉ねぎは生なら薄切り、大きく切るなら、苦みをなくすために、炒める。まずかった理由を細かく考えさせて、教えます。
つながりを考えるのがめんどくさい、というのが、げんちゃんの最も悪い性質!考えりゃたどりつけるのに、逃げる!なぜそうするのか、何のためにするのか、どのようにするのか・・・・料理では避けて通れない課題です。
ほんとげんちゃんが生まれて、私の人生の壮絶な日々は今日も続いています。泣
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