狡猾な「大人」へと進化する、げんちゃんとの攻防戦

キャベツ豚肉のトマトスープ、一人でコンソメ入れたり、ニンニク炒めたり、作っています。
毎日、毎日。本当に、根気のいる日々です。
S先生にご指導いただきながら、げんちゃんのメンタルというか、その「やる気のない性格(笑)」の矯正に励む毎日。毎晩の食事の準備一つとっても、細かい指摘を積み重ねていく。指導するこちら側もクタクタになりますが、こればかりは本当に「チリツモ」の世界です。
劇的な変化はありません。でもふとした瞬間に、「あれ、高校卒業のとき、こんなことできてたっけ?」と驚くような成長を感じる瞬間もあります。コツコツと、気が遠くなるような積み重ねを続けていけば、あのげんちゃんでさえ、少しずつは変わるのです。
二十歳の処世術は「穏やかな狡猾さ」
とはいえ、彼も生物的年齢は、二十歳。それなりに大人びた「生意気な反応」も一丁前にするようになりました。もともと、げんちゃんの唯一の長所は、性格が穏やかなこと。思春期のバトルもありましたが(思春期なんて言葉を使うのもおこがましいレベルのステージでした。)、彼は穏やかな分、非常に「狡猾」です。
何か注意すれば、「うん、わかった」と返事だけはいい。その場を穏やかに収めるための彼なりの処世術ですし、もともとの性格なんでしょう。
何を言われても、真剣に受け止めて自分のものにしようという気はさらさらありません。「言われなくなったな」、「状況が自分に有利になったな」、と思えば、すぐにポイと放り出してやらなくなる。せっかく身についたかなと思ってこちらが言うのをやめると、また元通り。だから、もう言わなくてもよくなったな、と思うことを、また延々と再開しなければなりません。
言わなくなれば、歯も磨かなくなるような、怠惰ぶりです。
「違うよ」という魔法の言葉で嘘を突き通す
キッチンの掃除もそうです。「片付けなさい」と言えば、流しの食器を洗うだけ。布巾がぐちゃぐちゃだろうが、作業台がベチャベチャだろうがお構いなしです。最近ようやくマシになってきましたが、今度は「食べたら流しに皿や茶碗をポイと放置。」
癖がついてしまいました。
朝の忙しい時間にそれを許してしまったのが運の尽き。彼は「それでいい」と学習してしまったようで、時間がある時でもポイ。
「食べた瞬間に洗いなさい! 自分の分だけでも!」これを何年も、言い続けるわけですから、言う方も相当なエネルギーが必要です。
体だけは成人し、20年も生きていると、その狡猾さにはさらに磨きがかかります。私が一番腹が立つのは、彼の「違うよ」という言い草です。
「あなた、またズルしたでしょ。S先生にも言われてるじゃない。やってないでしょ! なんでやってないのに、やったって言うの?」
瞬間的に
「違うよ」
何が違うというのか。彼の世界観では「やろうと思っていた=やったのと同じ」という設定にすり替わっているのです。実際にはやる気なんて微塵もなかったとしても、最後の最後まで「自分はやろうとして頑張ったけれど、何らかの理由でできなかった」という嘘を突き通します。やろうとしたんだから、やったと同じ・・・
ここで認めたら嘘がバレる、負けだと言わんばかりのしたたかな攻防戦。この「クズっぷり」には、長年辟易させられています。
インテリを気取るげんちゃんと、母の戦い
そんな彼ですが、決して口が達者なわけではありません。先日も体操の先生から「げんちゃんの話がさっぱり分からなくて……」とお電話をいただきました。
スケジュールの変更をお願いしなければならない場面で、「あの、先生が休みで、あの隣が、あの、3時からなくなったので、早く終わりたいんです」といった具合。これでも会話力は上がった方だというのだから驚きです。
一方で、自分を良く見せたい欲求だけは人一倍あります。私が読ませている”たくさんの不思議”というシリーズ本から得た、浅い知識を、さも自分がよく知ってるかのように、第三者にひけらかすのです。
「何々というのはね、これこれこうだからだよ」なんて、インテリを気取ってスラスラ喋る。だいたい彼の口が回るのは、自分をカッコよく見せようとする時です。
見え透いた虚勢なので、ちょっと質問すれば中身がないことはすぐにバレるのですが、初対面の人だと「えっ、げんちゃん凄い! 知的障害があるなんて感じないですよ」なんて言われることもあります。佇まいがそれほど「障害者然」としておらず、せいぜい「ちょっとアホ面(笑)」程度なので、余計にそう見えるのでしょう。
表面だけ取り繕い、カッコつけて嘘を突き通し、自分の世界観の中で自分を盛り上げる。そんなげんちゃんとの戦いは、今日もなかなかの激戦になっています。
それでも、少しずつ、朝晩の食事の支度も、ましになってきてるげんちゃんです。
コツコツコツコツ・・・・禅の修行のようなありさまですね~・・・(´;ω;`)
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