げんママイラスト 秋ですね~。1年早すぎです!庭の植物を描いてみました。
調理師専門学校体験後の発達げんちゃん20歳
げんちゃんは、調理師専門学校のオープンスクールに行きました。
名門と言われる厳しい学校にも行ってみて、そこで遅刻と言う大失敗をしてしまい(前ブログ)、門前払いをくらったり、いろんな失敗はあったものの、少しずつ気持ちがそちらの方向に向いてきているのは確かだと思います。
発達君げんちゃん、心が最も動いたのは「グループホーム」
その後のげんちゃんは、少し違ってきたのかな、と感じる日々です。
しかし、結論から言うと、彼の心が一番動いたのは、調理師専門学校よりも、グループホーム入居の話だったようです。
げんちゃんに常に流れるのは、「まったくやる気がない」、という通奏低音です。
私たちが、げんちゃんの目の前に、何をぶら下げても、彼は一念発起することはなく、ガラスの天井は、いつもげんちゃんの上に存在します。
調理師専門学校の体験は、彼の表面的な意識を少し動かしたものの、ガラスの天井を突き割くエネルギーは産出せず、その代わり、私にある見解を与えました。
もし来年になっても、今のようにだらけた状態が続くようなら、何らかの形のグループホームに入れて、就労移行支援に通わせるのがいいのではということです。
外側の能力は伸びても、心が動かない現実
この高校卒業後の2年間、げんちゃんは、私たちの血のにじむような努力のおかげで、外側の能力を伸ばしました。
しかし、それらの能力を使うための「やる気」や「心の部分」が全く動かないので、何をやってもへんてこりんと言う状態が続いています。中身と外側のちぐはぐ、空回りばかりと言った感じです。
発達障害の息子が、気まぐれに本気を出すときの力
とはいえ、時々気持ちが入って、気まぐれに本気を出すときの彼の能力たるや、確実に進歩できるものだと感じます。
もちろん“普通”とは言えませんが、本人が必死で頑張り、私たちがこれまでにつけてきた力を使おうと奮闘すれば、それなりに右肩上がりが見えるのです。
どうしても動かない「最後の砦」
しかし、私たちがどうしても動かすことができない部分――甘えという伝家の宝刀を、げんちゃんは最後まで握りしめ、温存し、ぬくぬくとしたベッドの中から出ようとしないので、わずかな成長カーブしか作らないのです、
だから、”一度放り出してみる”、調理師専門学校の一連のできことで、私は悟ったのです。
少し前の段階なら、外側の能力がまだ十分ではなく、この方法をとれば、ただひたすら安楽に落ちていくだけだったでしょう。
けれど今では、げんちゃんが死守している最後の砦を、ひっぺがすのに、有効な手段になっているのではないか、と感じている自分がいます。
母の決断と息子の動揺
そのことをげんちゃんに話したとき、彼の中に動揺が見られました。
「えっ、いやだ」
と、少し震えるような声が響きました。
私がそういう選択肢を持っているとは、げんちゃんは考えたこともなかったのでしょう。明らかな狼狽がありました。
今まで私自身にも、そうした選択肢はなかったのかもしれません。
娘に対して、大学進学時にしたように、子供を切り離して、自立を促す、なんてことは、子供がある程度のレベルにならなければ、大きな戦略ミスを生むことになります。
新たに生まれた、グループホームと言う私の”心の決断”は、ある意味、げんちゃんの成長の産物なのかもしれません。
発達障害げんちゃんの甘えに切り込む
げんちゃんはグループホームの話を聞いた時、調理師専門学校の時よりも、強い心の動きを見せました。うろたえるげんちゃんに、
「もし調理師専門学校に落ちたら仕方がないわよね。行くとこないんだし。」
「うん・・・・(しんみょう)」
「来年も、こんな暮らしを続けるのは無理ですよ。
おねえちゃんも、大学入学と同時に家を出たでしょう。あなたも、もう家を出なければね。
お母さんもお父さんも、いつかは死んでいなくなるのよ。
そのとき、あなたは一人で生きていかなければいけません。
お姉ちゃんには頼れませんよ。
お姉ちゃんは、いずれ結婚して家庭を持つでしょう。
あなたとは別の家族になるのよ。」
げんちゃんの固まった表情をしり目に私は続けます。
「あなたにはこれから、一人で生きていく準備が必要です!」
自立への道と、母の覚悟
「この家に住み続けることはできません。
ここは私とお父さんの家。
お姉ちゃんも独立して出て行ったでしょう。
大学生のときは部屋を借りて、しばらくお母さんたちがサポートしたけれど、今は社会に出て、自分の給料で自立して暮らしています。
あなたも同じです。
障害年金がもらえるようだから、それを足しにして、働いて生活していきなさい。
ハローワークで障害者枠の仕事を探して働いて、お金をやりくりしなさい。
いきなりは難しいでしょうから、就労移行支援という福祉のサービスを使えばいいと思います。
こないだ見学させていただいたでしょ。
グループホームと就労支援の施設を行き来しながら、少しずつ自立を学んでいきなさい。」
私は、脅しでもなんでもなく、きっぱり事実を言いました。言いながらなんてすっきりするんでしょ!ほんと、いつもやるだけのことはやってるので、新しい決断は、まったく何のひっかかりもない!
げんちゃんは小さな声で「嫌だ」と言いましたが、私のきっぱりとした言葉の前に、その声はかき消されていきました。
「マイナス」からしか動けない子ども
なるほど――この子は、残念ながらマイナスの刺激を与えなければ、プラスに進もうとしない人間なのだと、改めて納得するはめになりました。
やれやれ。究極のピンチが来た時だけ、少し心が動く・・・・・げんちゃんの過去から今にいたる情けない性質です。・・・
そういうことがあって、しばらくげんちゃんを遠目に見ています。
自分で製菓専門学校のオープンキャンパスを見つけたげんちゃん
それからしばらく、げんちゃんは、多少エネルギーを発動していました。どうも自分は、パンやお菓子作りの方が、調理より興味があるのかもしれない、と思ったのか、一人で製菓専門学校をググって、オープンスクールに申し込みました。
良い兆しではあるけど、なんというか、変なずれは否めず、申し込んだ後、勝手に浮かれているような感じもあります。自己を正しくとらえることができず、どこか自己中で奇妙な楽観を持っている感じです。なんか自分は大丈夫という、勝手な自己認識は、このタイプの発達障害の危うさです。
それでも、少しは事態が動き出していて、どうなることか、最終的にはげんちゃんの今後のやる気次第、本人の選択になるのでしょう。
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